近未来の日本、犬排除の陰謀に挑む。
『 犬ケ島 / L’île aux chiens』

©Twentieth Century Fox France

『 犬ケ島 / L’île aux chiens』

 ウェス・アンダーソン監督の発想は本当にユニークで、新作が出る度に今回はどんな世界に連れて行ってくれるのかと胸がわくわくする。

 彼の長編9作目にあたる『犬ケ島 / L’île aux chiens』は、日本の近未来が舞台だ。09年の秀作『ファンタスティックMr. FOX』についで、技法としてはストップモーション・アニメを用いている。前作は擬人化された動物たちの物語だったが、本作も主役は犬たちと日本の少年アタリ君。実写で動物に演技してもらうより、ストップモーションの方が実はリアルだったりして、またファンタスティックな世界にもすんなりと入り込める。というわけで、なかなかこれは正しい選択だと思う。

 鳥インフルエンザならぬ犬インフルエンザが大流行し、メガサキ市は全ての犬をゴミの島に隔離する決定を市長コバヤシが下す。次々にゴミの島に送り込まれる飼い犬たちはサバイバルに必死。レックス、キング、ボス、デューク、チーフの5匹は徒党を組む。ある日、小型飛行機が着陸し(ほとんど不時着)、アタリ少年が島に現れる。愛犬スポッツに会いたくての決死行だ。5匹組に助けられスポッツ捜しが始まる…。その過程で”犬排除”の裏に隠された陰謀が見えてくる。アタリ少年と犬たちの闘いが始まる…。真相やいかに…?

 5匹組が「いざ行かん」という時に流れる音楽はなんと『七人の侍』のテーマ曲。そしてメガサキ市長コバヤシの造形は、黒澤作品で悪役を演じる時の三船敏郎がモデルだという。ウェス・アンダーソン監督は日本映画からの影響を隠さない。日本映画と日本文化を彼なりに反芻して『犬ケ島』を創り上げた。Ovniの姉妹誌 Zoomの記事では、本作を日本映画と位置づけ「本作が放つ人間性のサイズは、黒澤作品からのもろ影響下にあるに違いない…本年前半のベスト邦画と言えるだろう」と結んでいる。果たしてあなたの評価は? (吉)