自治体や企業が循環経済やソーシャルビジネスに移行するのを支援するアソシエーションが2017年、パリ市の発案で生まれた。本部はパリ市が所有する、運河管理事務所があった建物だ。10年間使われていなかった建物の外観を残し、内装はリニューアル時に出た廃棄物やその他の廃材を使って一新した。リサイクル・リユース率95%で、循環経済の見本のような建物だ。
アソシエーションの名前は、建物の元の機能にちなんで「レ・カノー(運河)」。地上階にはセミナーができる多目的会場がある。天井にはジュニア・フリッツ・ジャケが折り紙で作った照明具。壁にかかる抽象的なタペストリーも廃材から。上階は事務所や小会議室になっており、廊下には、廃材でデザイン性の高いものを作るデザイン事務所がアソシエーション「エマウス・アルテルナティヴ」と協力して作ったがコート掛けがある。
事務室の椅子の座位はリサイクルしたプラスチック、脚は廃材だった床材でできている。小テーブルの台もリサイクルプラスチックを成形したものだ。もともと備え付けてあった棚は、一部を変えて現代的な棚に生まれ変わった。どこをとっても「リサイクルしました」という感じはしない。デザインのコンセプトがしっかりしていれば、廃材利用で質の高いものができるお手本のような場所だ。(羽)