土井原英治さん(46歳)
土井原さんのお店に初めて伺った時、ベートーヴェンの話を熱を込めてしてくれたのが印象的で、もっと話が聞きたくなった。クラシック音楽は、中学生時代にFM雑誌を買ってラジオで熱心に聴き始めたという。大阪生まれ、フランス料理の道へ進もうと思ったのも中学生の時、テレビで自分が知らなかった世界を観てからだった。料理学校卒業後、何軒かを経て就職した日本のレストラン企業が持つパリの店へ出向して働いた。そして日本に戻りシェフとして東京にある店を任されるのだが、企業の経営体制に疑問を感じ結局、辞表を出す。
日本で自分の店を持つかどうか?土井原さんはパリを選ぶ。近所の人たちで賑わう土井原さんのお店でいただく料理では、フランス料理のクラシックな基本が大切にされている。「料理人を指揮者または作曲家に例えれば毎日がライブ。お客さんに喜んで帰っていただくことが一番大切」。だからこそ、料理はもちろん、サービスもとても重要だと土井原さんは考える。
週末にはクラシック音楽の公演に足を運び、ワインのテイスティングへと車で遠出をする。平日は朝の仕入れから夜中の片付け終了まで店に時間を取られてしまう。ただ、いつまで今のリズムが続けられるか?と自問すると、そろそろ世代交代かとも思う。若い人に店を任せれば自分は小さな店で料理が作れる。もっと自分の時間ができれば知らない土地、知らないことを探求できる。音楽も聴けるし美味しいワインももっと探しに行ける。土井原さんの将来への夢は広がる。(海)
Le Sot l’y Laisse
Adresse : 70 rue Alexandre Dumas, 75011 Paris , FranceTEL : 01. 4009.7920
アクセス : M° Alexandre Dumas
土曜と月曜の昼、日曜休。12h00-14h00/19h30-21h30