1831年に設立された大工コンパニョン(Société de Compagnons Charpentiers des devoirs du Tour de France)の19区の本部にはレストランがあり、コンパニョンでない人でも食事ができる。
「シンプルでうまい」とレストランが謳っているとおり、「大工の牛タルタル」、鴨のコンフィ、コート・ド・ブッフなど、ビストロの定番料理が並ぶ。昼ならアントレとメイン(またはメインとデザート)で13€。フルコース15€。しっかり腹ごしらえできる盛り。ワイン1杯が2.7€で飲める店は近ごろ珍しいし、このまま質実剛健な料理と値段で頑張って欲しいものだ(ちなみにビールはドゥミ25clで3€)。
匠の技を凝らした風格ある構えの店に入ると、木製の大きな円形のバーカウンターがある。20人くらいは一緒に飲めそうだ。その部屋にはテーブルセッティングされていないテーブルがあり、関係者コーナーのようになっている。私が行った晩は、そこで「コンパニョンの母」と呼ばれる女性が5人くらいの人と食事をしながら談笑していた。「母」と呼ばれるのは、郷里から遠く、旅をしながら職人技を身につける若者の相談役であり面倒をみる人だから、と店員さんがそっと教えてくれた。
「身内」でない一般客は奥の部屋へ案内される。壁にはコンパニョンの名士の肖像、職人の手による作品、メダル、道具、コンパニョンのたすきなどが陳列され、博物館のようだ。木製の天井の羽目板やがっしりした窓枠、座の部分が大きく緩やかなくぼみが施された椅子に腰を落ち着けての食事。コンパニョンの悠久の歴史の一端に触れられたようで、嬉しかった。(六)
Aux Arts et Sciences Réunis
Adresse : 161 avenue Jean Jaurès, 75019 ParisTEL : 01. 4240 5318
アクセス : M° Ourcq
月~土 12h-14h/19h-22h 日休