川崎純子さん(46歳)
「パリで店をやるって大変でしょう? と言われるけど、大変だと思わないんです。自分の信じること、好きなことをやってるだけだから」。来仏して15年目、小柄ながらパワフルさを感じさせる川崎純子さんは、モンソー公園エリアのレストランを切り盛りするオーナーシェフだ
短大卒業後に調理専門学校を経て東京の人気レストランで働くも、あまりのハードさに体調を崩し退職。その後、地元茨城の店に入るが1軒目は厨房に入らせてもらえず、2軒目も料理はできずデセールだけ。料理をしたい気持ちが捨てきれず、一念発起してフランスの地を踏んだ。
パリ15区のビストロに職を得たがデセール担当となり、料理に対する気持ちがさらに募った。そんな時、ル・ブリストルの114Faubourgの募集を知り入店。「やっと料理ができて満足でした。毎日高級食材を扱って、最新のテクニックを学んで」。40歳を迎える年に、さらなる転機が訪れる。現在の共同経営者ドミニクさんと出会い、一緒に店をやることを持ちかけられたのだ。「両親の応援もあり、思い切って20代の頃からの夢を叶えました」。30席の店で仕込みから皿洗いまで全て1人でこなした。ブリストルで真空調理などの技術を身につけたこと、忙しい朝食係を1人で担当した経験が大いに生きた。
店名の通り、こだわりはBIO。「美味しいものを追求するとBIOにたどり着いた」のだという。食材と調味料は80%以上、ワインはすべてBIOという徹底ぶりだ。「野菜たっぷりの健康的な食事をして次の日に元気になってほしい。お母さんの気持ちに近いかも。家庭の食事のように、安心で安全なものだけを出したい」。川崎さんの次の夢は日本への出店だという。「ワインと食事が自然に一緒にあるフランスの日常を、日本にも伝えられたらいいですね」。(恵)
La Table du Caviste Bio
Adresse : 55 rue de Prony, 75017 ParisTEL : 01.8210.3702
アクセス : M° Wagram
日月休 12h-14h/19h-22h30h