華やかなシャンゼリゼ大通りから、一歩入った閑静な通りにある「駒つばき」では、ひのきのカウンター席で四季折々の懐石料理を楽しめる。

懐石とすし懐石、菜食者には精進料理のコース。選りすぐりの旬の食材をさばくシェフの手元を見ながら、美しく盛りつけられた料理に日本酒やブルゴーニュの白ワインで舌鼓。手を止めずカウンター越しに客に声をかけるシェフ。そこから自然と会話が生まれ、食事が進むにつれて和やかな空気に包まれる。シェフがこれまで集めてきた器、さまざまな表情の「つばき」が描かれた、のれんや絵皿。すべてが調和して心を満たしてくれる。和食が世界無形文化遺産に登録されたことを実感するひとときだ。

シェフの田窪竜馬(たくぼりゅうま)さんは、実はノルマンディー育ち。父親は同地方で「林檎の礼拝堂 Chapelle aux Pommiers」を制作したことで知られる田窪恭治画伯。この制作のために一家で日本からノルマンディー地方のファレーズ市に移住したため、田窪竜馬少年は地元の学校に通いながら、8年間、フランス文化のなかで成長した。幼い頃から料理人になることを夢みていた田窪竜馬さんは、パリで多くの人々を魅了した日本料理店「ひょうたん」の味に感銘を受け、和食料理人になることを決意。現在の「駒つばき」は、かつて「ひょうたん」があった場所に店を構えている。その後、福岡で修業を重ね、料理長を務めた懐石料理店「柚子庵」ではミシュラン一つ星を獲得。2016年、20年ぶりに再びパリへ戻り「駒つばき」を開店した。

壁いっぱいの薮椿(やぶつばき)
今年、田窪恭治画伯の「椿」が駒つばき店舗一階の壁一面に現れた。代表作、香川県金刀比羅宮(ことひらぐう)境内にあるカフェ・レストラン神椿の壁画ように、琴平山に自生する薮椿が勢いよく枝を伸ばした、力強い絵。「花そのものの形よりも、色、生命力、そして和食の豊かさが結び付いた、その場所の性格を出したかった」と、画伯。



駒つばき Komatsubaki
Adresse : 3 rue d’Artois , 75008 Parisアクセス : Saint-Philippe-du-Roule (9号線)/ Franklin D. Roosevelt(1号、9号線)
URL : https://komatsubaki.fr/
ディナーのみ。おまかせで約2時間。懐石コース「つばき」138€ 寿司懐石コース「駒」138€ 精進懐石コース「禅」138€(予約時にご指定ください) コーシャー、ハラルも対応。ご予約は、公式サイトから。
