ロダン没後100周年の今年、ロダン美術館は、現代美術の巨人、アンゼルム・キーファーを招いて、ロダンに触発されたキーファー作品を展示している。2015-16年、国立図書館でキーファー展が開催された。そのとき見たのが、ロダンばりのヌードデッサンだった。あ、キーファーはこういう絵も描くんだ、と意外だった。ロダン美術館の学芸員によれば、このときキーファーは本展の準備をしていたのだという。
デッサンとエッセイから成るロダン唯一の著作 「フランスのカテドラル」を基に、ロダン美術館が現代アーティストに本を作ってもらおうとしたのが初めの企画だった。キーファーとの共同作業でそれが展覧会に発展した。
大画面に朽ち果てたようなキーファー独特の塔を描き、その上にキーファーの好みの金属である鉛を流した彼流のカテドラルを見ると、ロダンは死んでいるのに、生身のアーティスト2人が刺激し合っているような錯覚に陥る。ガラスケースの中に枯れ木とDNAのようなオブジェを入れた作品は、亡くなったロダンと天に昇る階段を象徴しているようでもあり、自分はロダンのDNAを受け継いだアーティストだというキーファーの自負を示しているようでもある。ロダンに呑み込まれず、ロダンを糧に自分の世界を広げていくキーファーはやはり大物だ。(羽)
10月22日まで 月休 ロダン美術館