日本人の職人として、フランス料理を体現する。
ヴィクトル・ユゴー広場から徒歩5分ほど、ポンプ通りに今年1月3日オープンした、山本健一さんのレストラン「Ken Yamamoto」。目をひく和風のロゴマークは、本物の家紋。名前、家紋ともに、「自分自身の店で100%やりたい事をする」という、山本さんの覚悟の表れだ。
東京の下町で、代々畳店を営む職人の家に生まれ育ち、将来は職人の仕事に就こうと自然に思うようになった。高校時代に洋食屋で働き始める。19歳のときにフランスへ渡りサン・トロペの店へ入ったが、言葉も技術も足りないことに気づき、一旦帰国。
「くやしかったです。でも、このままではスキルも経験も得られないと思い、まず日本で修行し直すことにしました」。それから5年間、東京のフランス料理の名店で厳しい日々に耐え、基礎から技術を磨いた。
25歳で再び渡仏。その頃には、「技術でフランス人に負けることはない」と思えるほど自信を付けていた。パリで名店を渡り歩いたが、最も長く在籍したのは16区Nomicos。最後の2年間は、エグゼクティヴ・シェフとして大規模なイベントや政府要人のディナーなども担当した。
再渡仏から15年、40歳を迎えた昨年に独立を決める。選んだのは、16席の「すべてに自分の目が届く店」。食器等も自ら選び、内装は日本人の職人3人と細部までこだわって作り上げた。自分の料理は「ソースが主役」だという。「いちばん力を入れているのは、丁寧に手間をかけてフォンやジュを取ること。料理自体は重くせず、素材の旨味と味を重視しています」。
看板メニューの 「フォアグラの西京焼」に見られるように、料理には味噌や出汁など、常に日本の要素を盛り込む。「日本の素材を使いながらも、フランス料理をリスペクトし、自分の納得いく料理でお客様に喜んでいただける店にしていきたいです」。 (恵)
Ken Yamamoto
Adresse : 144 Rue de la Pompe, 75016 Paris , FranceTEL : 01.4562.6497
アクセス : M°Victor Hugo
URL : https://www.kenyamamoto.fr
火〜土12h-14h/19h30-21h30 日月休 Instagram @restaurant_kenyamamoto ランチコース55€/ディナーコース 95€