9月17日(土)、18日(日)の2日間は、毎年恒例の「欧州文化遺産の日」。ヴェルサイユ宮殿では、よく知られたルイ14世の豪華絢爛な部分とは趣を異にする、共和国の歴史にゆかりのある部分が特別に無料公開される。各部屋に待機する美術史学校エコール・デュ・ルーヴルの学生たちが質問に答えてもくれる。
◯ジュ・ド・ポーム球戯場 La salle du Jeu de Paume
ルイ14世がヴェルサイユ宮殿の近くに1686年に建てさせた、テニスの原型ジュ・ド・ポームの球戯場は、フランス革命の象徴的出来事「テニスコートの誓い」の舞台である。ルイ16世の招集した身分制議会(三部会)を拒否した第3身分の議員たちが1789年6月17日に「国民議会」を結成し、20日にこの球戯場で憲法制定まで団結することを誓った。
第3共和制下の1883年に仏革命博物館となったが、かなり老朽化していたため、8ヵ月の改修工事を経て今年3月に再オープンしたばかり。修復されたリュック=オリヴィエ・メルソンの絵画『テニスコートの誓い』のほか、誓いの言葉が刻まれた壁、20体あまりの「誓い」を立てた人たちの彫像が見られる。普段は予約制のガイド付き見学のみだが、文化遺産の日は予約なしの無料で見学できる。
◯ 国民議会の議場 La salle du Congrès
帝政終了後の第3共和制では、上院はヴェルサイユ宮殿内の王室オペラ劇場に、国民議会は宮殿のミディ翼に1876年に新設された議場に設置された。79年にはパリに戻ったが、今でも憲法改正法案採決や大統領の特別演説などの際に両院議員が集まる合同議会がここで行われる。装飾をこらした円柱が並ぶ荘厳な議場だ。
◯ 公印の間 Salle du Sceau
もとは議員と一般人の面会室だったが、後に国民議会と上院の公印を押す部屋になった。1875年作の公印を押す150kgの重さの機械は圧巻。
◯ 国民議会議長のアパルトマン L’appartement du président de l’Assemblée nationale
国民議会の議場と同じくエドモン・ド・ジョリが1875年に設計。接見室が2つと議長の居室がある。白をベースに金色の装飾が施されたルイ16世様式のインテリア。議場、公印の部屋と同じくここも普段は公開されていない。
そのほか、歴史的建造物に関する伝統工芸職人の教育機関である「キャンパス・ヴェルサイユ」のアトリエや改修の舞台裏を見学できる。無料。
17日のみ10h-18h。王の大厩舎(Grande Ecurie du Roi)にて。
日時 : 17-18日 9h-18h30(入場は17hまで)予約不要。
上記の場所や庭はアクセス無料だが、宮殿のその他の部分は通常通り有料。
住所 :
・ジュ・ド・ポーム球戯場:1 Rue du Jeu de Paume 78000 Versailles 宮殿入口から徒歩10分。
・議場などその他:2 rue de l’Indépendance américaine 78000 Versailles
最寄駅 : Metro :RER C Versailles Château Rive Gauche
Château de Versailles
Adresse : Place d'Armes, 78000 Versailles , FranceTEL : 01 30 83 78 00
アクセス : RER C Versailles Château Rive Gauche
URL : https://www.chateauversailles.fr
記事で紹介した特別公開される場所は、予約不要、無料。城は通常通り有料。