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日本の『テロワール』展示・試食会、フレンチを和素材で。

2017-03-06

　去る２月２７日、日本の郷土食材を紹介する、プロ向けのイベントが開催された。

　「日本の農林水産物を優れた技術で加工した食材」をテーマに、14社*が出展。来訪者は各ブースで食材を試食できるほか、会場の中央で、それらの食材を使った創作料理を試食できる。知っていると思っていた日本の伝統的な食材が、フランスで活躍するシェフたちの感性で、思わぬ一品に使われ、意外な味わいを醸し出す。そんな体験を通じて、郷土の食材に注目してもらおうという、イベント色の濃い商談会だ。

　JETRO主催、パソナ農援隊が運営した今年2回目のこの商談会では、パリのレストラン2軒からシェフが招待された。シェフには〈出展食材を使う〉という制約は課されるが、それらをどう使うかは自由。昨秋パリ12区にオープンした「Virtus」のふたりのシェフ、神崎千帆、マルセロ・ディ・ジャコモ両氏と、ソムリエのパズ・レヴィンソン氏、そして「Potel et Chabot」のシェフ、マリー・ソリア氏と、シェフパティシエ、マーク・リヴィエール氏が招待に応じた。

パリ12区、Virtusのシェフ、神崎千帆さん。

Virtusのもうひとりのシェフ、マルセロ・ディ・ジャコモさん。

「Virtus」の神崎、ディ・ジャコモ両氏は「鰹節とみかんのセビッチェ」、「菊芋のチップスとえごま味噌」、アルゼンチン風に5時間から24時間じっくりと調理した「和牛のアサド」、和牛の脂を使ったグリッシーニ、粉末醤油をトッピングしたティラミス「ソジャミス」、「生わさびのクリームとパッションフルーツのクリーム、軽いクリームの三層重ね」、イベント前日まで考え続けた力作「乾燥みかんのミニャルディーズ」などを披露。日・仏・伊・アルゼンチンなどの食文化が融合した、繊細な料理を供し、来訪者を楽しませた。

世界ソムリエコンクール4位、南米1位のタイトルを持つVirtusのソムリエ、パズ・レヴィンソンさんは3種のカクテルを提案。マルセロさんと同じくアルゼンチン出身。

　同レストランのソムリエ、パズ・レヴィンソン氏は、かぼす酢+大葉パウダー+きゅうりを使ったカクテル「ジノバ」、乾燥しらぬいと、ゆず種を使った「カクテル・デコポ」、かんずりや黒にんにくドレッシングを使った「Virtus風ブラッディ・マリー」を披露した。

「Potel et Chabot」のソリア・シェフは、「小豆のシフォン、鯛のタルタル」「牛のソテー、ビーツ・チップスのせ　(グルテンフリーたまり醤油ゼリー）」、シェフパティシエのリヴィエール氏は、三河のみりんで洋梨を煮、ババにみりんをかけた「洋梨のみりんソテー　マロンのエスプーマ添え」などで好評を博した。

商談会に訪れた日本食材の輸入業者や、料理人、ジャーナリストなどは、試飲しながら「あずきは（菓子でなく）料理で食べても豆自体の甘みがおいしい」、「たまり醤油と、ビーツの甘さの調和が好き」などとコメント。出展者からは「海外のイベントでは、商品を思わぬ使い方をしてくれる、嬉しい〈裏切り〉があるから楽しい」などの感想が聞かれた。