「料理、人を感動させる手段」

神崎千帆さん(37歳)

「落ちこぼれで怒られてばかりでした」と、ほとんど記憶がないという20代の自分を神崎さんは振り返る。

 幼い頃、調理学校に入るずっと前から料理上手の父親のように美味しい料理が作りたいと台所に立ってきた。東京で就職し、フランスで2年間研修した後、当時は厨房に立つ女性が少なかったこともあるけれど、何よりもっと腕を磨かなければフランスでは通用しないと一度は日本へ帰る。2007年から7年間働いたマントンの店では、4年目に部門長からスーシェフへ、そしてシェフへと昇格する。トントン拍子のようだけれど「下積みの時代が人より長くてうんと回り道をしてきた人生」だと神崎さん。シェフを務めた今の前の店で、30年以上通う常連のマダムから「女性にしか作れない繊細な料理」と褒められた、その嬉しさが忘れられない。

 神崎さんはなぜかアルゼンチンと縁が深い。マントンの店のシェフ、マウロも、その店で知り合って今の店でも私生活でも肩を並べるマルセロも、ソムリエの女性パズも、そして研修の男性もアルゼンチン出身で、アルゼンチンと日本の真ん中にみんなと出会ったフランスがあり、そして驚きや繊細さが見え隠れする神崎さんの料理がある。仕事が一番面白いと思える今、自分たちのしていることをもっと多くの人に知ってもらいたい、と抑揚と熱を込めて語る神崎さんの話はまるで音楽のよう、私はただただ聞き惚れる。(海)

 

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Virtus

Adresse : 8 rue Crozatier, 75012 Paris
TEL : 09.8068.0808
URL : www.virtus-paris.com/infos/
火〜土 12h-14h / 20h-22h30。昼のセット (メインとチーズ)17€ 夜はデギュスタシオンコースのみ 55€ とデギュスタシオンに合わせたワインコース40€。