Jean=Guihan Queyras
Schumann : Concerto pour violoncelle
9月19日 20h–
もうひと昔、シャンゼリゼ劇場にトルルス・モルクによるシューマンのチェロ協奏曲を聴きに出かけた。その日はなぜか暗い気持ちにとりつかれていたのだが、モルクが第1楽章のテーマを弾きだした瞬間、心が優しくなっていった。決して派手でなく、地味で親密な旋律なのだが、それだからこそ心を内側から照らしてくれたのだろう。チェロが出しゃばることなく、弦楽器、木管楽器と織り合いながら精妙なハーモニーをつむぎ出していく。ゆっくりとした第2楽章では、夢幻的な夜想曲が流れ、後半第1楽章のテーマが戻ってきて、悲劇的な様相を帯びる。躍動感あふれる第3楽章はなかなかの難曲だが、ロマン的な感情が内から吹き上げる。チェロのソロにこだまするような木管が美しい。
今回のチェロ奏者はジャン=ギハン・ケラスで、2007年にリリースされた彼のバッハの無伴奏チェロ曲は、今でもこの曲の名盤中の名盤と評判が高い名手。オーケストラはパリ室内管弦楽団で、小規模な編成だけに、この曲にふさわしい。指揮はメンデルスゾーンやシューマンの交響曲が得意のトーマス・ヘンゲルブロック。ほかにシューベルトの長大な交響曲9番も振るという、自信満々のプログラムだ。(真)17€~55€。
Théâtre des Champs-Elysées
Adresse : 15 av.Montaigne, 75008 Paris , FranceTEL : 01.4952.5050
アクセス : M° Alma Marceau
URL : https://www.theatrechampselysees.fr/saison-2023-2024/orchestre-de-chambre-de-paris/orchestre-de-chambre-de-paris-62