ロンドンで『驚愕(きょうがく)』や『ロンドン』などの交響曲で大成功を収めたハイドンは、1794年にエステルハージ家の楽長に就任してウィーンに戻ってくる。60歳を過ぎていたにもかかわらず、創作意欲は衰えることがなく、六つの大きなミサ曲だけでなく、オラトリオ『天地創造』、『四季』を作曲する。
2年がかりで作曲された『天地創造』は、1部と2部では神による天地創造の6日間を追っていく。冒頭の「混沌」ではティンパニーの連打がとどろき、金管がうなり、弦と木管が精妙にからみ合い、ハイドンの管弦楽法の精髄が聴かれる。随所にソプラノ、テナー、バリトン歌手による美しいアリアもちりばめられている。3部ではアダムとイヴが、愛の喜びを神に感謝していくのだが、「あなたとともにすべての喜びはたかまり…」などの二重奏によるアリアには、これがハイドンかと首をかしげてしまうような、甘い情緒があふれる。
コロンビア出身のアンドレス・オロスコ=エストラーダがフランス国立管弦楽団を指揮し、歌手陣もバリトンでは当代一といってもいいマティアス・ゲルネをはじめ、素晴らしい歌手がそろっているこの公演、ただでさえこの傑作を聴く機会はまれなので、早めに予約して出かけたい。(真)
4月20日、20h。5€〜85€
Théâtre des Champs-Elysées
Adresse : 15 av. Montaigne, 75008 ParisTEL : 01.4952.5050
アクセス : M° Alma Marceau
URL : https://www.theatrechampselysees.fr
4月20日、20h。5€〜85€