
バイルー内閣の全閣僚36人のうち6割の22人が百万長者であると仏紙が報じた。2022年にボルヌ内閣の41人中19人が百万長者と話題になったが、それを上回る内閣の「富豪率」だ。
公職者透明性高等機関(HATVP)が政府閣僚の資産・所得申告を10日に公表したのを受けて、仏各紙はそれを分析した記事を掲載。電子版ル・モンド6月12日付の解説記事によると、バイルー内閣の閣僚の平均資産は290万€で、22年ボルヌ内閣閣僚の190万€、17年のフィリップ内閣閣僚の160万€、16年のヴァルス内閣の110万€を大きく上回った。
資産では、父親の所有する会計監査会社の株式35%を保有するマルク・フェラーチ産業・エネルギー担当相が2300万€でトップ。2番目はコンサルタント会社の株式および一戸建てと高級アパート計4軒を所有するロンバール経済相が2170万€。3位はダチ文化相で599万€、4位は不動産資産を持つヴェロニック・ルワジー通商・職人・中小企業担当相。所得(過去5年分)では、2021年まで大手不動産投資管理会社の取締役だったアストリッド・パノシヤン=ブヴェ労働雇用相が370万€で1位。次席はダチ文化相で昨年までの弁護士報酬に加えてエアバス、ダッソー、タレスなど36社の株の配当金により271万€。3位はロンバール経済相167万€だ。
ダチ文化相は前回2017年の申告の際に42万€相当の宝飾品の申告漏れがあるとリベラシオン紙から批判されているが、今回も宝飾品の申告はない。資産3位、所得2位とダチ氏の資産形成能力に疑いの余地はないが、一方で司直の手が伸びているのも確か。文化相は欧州議員時代の2010-12年にルノー=日産のゴーン元会長から実体のない弁護士報酬として90万€を受け取った「受動的汚職」で昨年11月に起訴要請されているほか、仏ガス会社GDFスエズから賄賂をもらって欧州議会で同社に有利な働きかけをしていたと疑われている。
全閣僚の97%は何らかの不動産の所有者で、そうでないのはヴァルス海外領土相だけ。同相は資産部門では13万€と最下位。ダルマナン法相はノール県に95㎡のアパートを所有しているが多くのローンが残っているため資産は下から2番目(26万€)(ただし所得は81万€で第5位)。
とはいえ、ヴォートラン保健相とジュヌヴァール農相を除く全閣僚は最も所得の高い層5%に入っている。この金持ち内閣では富裕層への課税も進まないのは無理ないことなのかも……。
