ミシェル・バルニエ新首相、任命から16日後に、ようやく新内閣を発表。
大統領府は9月21日夜、ミシェル・バルニエ内閣のメンバー39人の名前を発表した。幅広い政党から人材を集めるという当初のマクロン大統領の意向は実現せず、マクロン陣営と共和党(LR)が約半分ずつを占め、左派出身者はたった一人と、かなり右寄りの内閣となった。
前アタル内閣の閣僚7人が続投あるいは前とは異なるポストに就いた。パニエ=リュナシェ=エコロジー移行相、ルコルニュ軍事相、ダチ文化相、欧州担当相から外務・欧州相になったジャン=ノエル・バロ氏、労働・保健相から国土・地方分権相になったヴォートラン氏らだ。ほかにボルヌ内閣の障害者担当相だったダリューセック氏が保健相に。若干33歳の財務監査官出身のアントワンヌ・アルマン経済相、アストリッド・パノシヤン=ブヴェ労働相、アンヌ・ジュネテ教育相らもマクロン陣営だ。共和党では、バルニエ首相のほか、人工妊娠中絶権利の憲法記載や同性婚に反対し、左派から「反動的」と評されるブリュノ・ルタイヨー氏が内相に就任。農業相にアニー・ジュヌヴァール氏、海外領土相にフランソワ・ノエル=ビュフェ氏、高等教育相にパトリック・エツェル氏など。唯一の左派出身大臣は、元社会党国民議会議員で、公職者透明性高等機関(HATVP)長官のディディエ・ミゴー法相。主要大臣19人のうち、マクロン陣営が12人、共和党を中心とした右派陣営が10人という構成だ。男性11人、女性8人。
左派「服従しないフランス」党(LFI)のメランション氏は、国民議会の勢力図を反映しない政府を「正当性のない敗者の政府」とし、できる限り早く排除しようと呼びかけた。バルニエ首相任命時の7日のデモに続き、21日にも左派の呼びかけでバルニエ政府に反対するデモが行われた。「第5共和政で最右翼の政府」と批判する社会党も、10月1日の首相の施政方針演説直後に内閣不信任案を提出する意向だ。
極右の国民連合(RN)のバルデラ党首は「未来のない政府」と断じつつも、予算案、増税、移民政策、治安対策などの政府の今後の動きを見てから不信任案を出すか、案に賛成するかを決めるとみられる。左派の不信任案にRNが相乗りすれば国民議会の過半数を超えて可決することも可能だ。バルニエ首相は22日のTVインタヴューで、財政を立て直しつつ中低所得層に増税しない、移民問題は厳しい態度で臨む、などと発言したが、RNのご機嫌伺いをしながらの政権運営になるのだろうか。(し)