Goossens Paris のアクセサリー

Bague Stones : エメラルドカットのロッククリスタルの指輪。24カラットゴールドめっき。290ユーロ。© GOOSSENS

 ファッションの国フランスには、アクセサリーやジュエリーのメーカーは星の数ほどある。そのなかでも、名だたるオートクチュールのメゾンにジュエリーを作るゴーサンス(グーセンス)・パリ社をパリ郊外パンタンのアトリエに訪ねた。オートクチュールのためだけではなく、オリジナルの商品も作っている。庶民には到底手の届かないハイジュエリーというのではないが、独自のスタイルを保ちつつ70年の歴史を持つ会社だ。以前に紹介した刺繍のルサージュと同様、モード系の職人芸を保護するシャネルのメティエ・ダール傘下に2005年に入っている。

グーサンスの定番オブジェ、3頭のライオンが支える水晶玉。© GOOSSENS

 ゴーサンス・パリは創業者ロベール・ゴーサンスさんとココ・シャネル抜きには語れない。マレ地区の鋳造業者の息子だったロベールさんが金銀細工と宝石細工を学んで1950年に創立したのがゴーサンス・パリ。53年のココ・シャネルとの出会いが会社の方向づけを決定した。

 ロベールさんはシャネルと話し合いながら古代エジプトやビザンチンの美術に着想を得たブロンズや真鍮、ロッククリスタル (天然水晶)を素材とした独特のアクセサリーを作り、その評判を聞きつけた他のメゾンからも注文が殺到した。シャネルとの交友はその死(1971年)まで絶えることなく、彼女の住居の鏡、シャンデリア、テーブルやオブジェなども作った。そうしたロッククリスタルのクープ、3頭のライオンが支える水晶玉は今でもグーサンスの定番オブジェだ。95年からは米建築家ピーター・マリノ氏がインテリアを手がけるシャネルのブティックのために、鏡やシャンデリアなども制作している。

 鋳造業と金銀細工のDNAからか、ゴーサンスのアクセサリーはブロンズや真鍮、その合金がベース。様々な石のなかでも、大きな塊になるのに何千万年、何億年もかかると言われるロッククリスタルは、ゴーサンスお気に入りの素材。透明な部分とクラックや曇りの入り具合がいろんな表情を醸し出すほか、大型の製品も作れるからだ。

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 アクセサリーの製造工程を見るのは初めてだったので興味津々だった。デザインを元にシリコンの鋳型を造り、ワックスを流し込んで原形を作る。同時にいくつかのアクセサリーパーツを鋳造するので5~10個くらいのワックス原形をツリー形に組み立てるのだ。その周りを石膏で覆い固め、加熱して中のワックスを溶かし出す。その空洞に溶かした金属を流し込むとワックス原形と同じ形をした鋳物が出来上がる(ロストワックス鋳造)。鋳型を壊すと中からアクセサリーパーツのツリーが出てくる。

鋳造後の工程はすべて手作業だ。一人の職人が一つのアクセサリーの鋳造後の全工程を担当する。アトリエの2階ではロウ付けする人、研磨する人、パーツを組み立てる人、石をはめ込む人、さまざまな作業をしている。一人前の職人になるには10年かかるそうだ。

 有名ブランドの注文と自社製品が半々で、パリ・サントノーレのブティックとボンマルシェ店のほか、日本やロシア、香港などに輸出している。「今後は自社ブランドの製品作りに力を入れたい」と現社長のパトリック・ゴーサンスさんは抱負を語ってくれた。(し)

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