David Fray – Schubert
シューベルトは31歳で亡くなる2か月前の1828年9月に、立て続けにピアノソナタ3曲を書いたが、いずれも傑作で、今でも演奏される機会が多い。中でも最後の21番D960は演奏時間が40分前後の大作だ。夢の中から浮かび上がってきたような、ゆったりとしたリードを思わせるテーマではじまる第1楽章は、ピアニストによっては20分をこえたりする(リヒテルは25:41!)。そのテーマが、雲の移ろいで表情を変えていく空のように、多彩なニュアンスでくり返されていくのだが、少しもあきることがない。というかこの長さを緊張感を失わずにどう弾き通すかは、ピアニストの力量次第という難曲でもある。第2楽章のアンダンテでは、死間近のシューベルトの追憶が静寂な歌として響く。
フランスのタルブ市生まれのダヴィッド・フレイは、25歳でヴァージン・クラシックと契約し、リストやバッハのアルバムに続き、『即興曲』や『楽興の時』が入ったシューベルト集をリリースし、豊かな表現力、弱音の美しさなどで絶賛された。フレイも今や41歳、シューベルトのピアノ曲の頂点に挑む。やはり第1楽章が聴きものだ。ほかに『即興曲』作品90。(真)
シャンゼリゼ劇場(下に地図)
6月23日、20h〜。
料金:10€~65€。
Théâtre des Champs Elysées
Adresse : 15 av.Montaigne, 75008 Paris , FranceTEL : 01.4952.5000
アクセス : Alma Marceau
URL : www.theatrechampselysees.fr
6月23日20h。10€~65€。