コロナウイルス―学校全面閉鎖のため自宅学習。

 新型コロナウイルスの感染拡大のため、3月16日から全国で保育所から大学までが閉鎖されている。それ以前は特に感染が多い地域でクラス・学校単位で閉鎖措置がとられていたが、マクロン大統領が12日に全面的に閉鎖することを発表した。当日までケースバイケースの閉鎖を口にしていたブランケール教育相は、16日からの諸対策を決めるのに大わらわ。学校の全面閉鎖は1968年の5月危機以来の措置だ。

フランス4局で始まった授業。朝9hから小、中、高校生と段階的に授業を放送。 中学生までは科目ごとに30分、高校生は1時間の授業となる。朝9hから夕方5時まで、昼休みが12hから14hまで入る。

自宅学習のための様々なツール

 ブランケール教育相は22日、状況によるが「学校再開は5月4日の可能性が高い」とした。地域によって多少ズレがあるものの、春休みが終わる時期となる。

 教育相は15日、自宅学習の措置を発表した。まずは、国立通信教育センター(CNED)のデータベースを活用した「Ma classe à la maison(家での授業)」。幼稚園から高校までの授業、補足説明、練習問題などに科目ごとにアクセスできるようになっており、1日単位、1週間単位のプログラムを提供する。この制度にはネット上の黒板を使って教師が授業をし、生徒が質問したりできる「バーチャル授業」のシステムもある。

もう一つは、中学以上の各学校が普段から使っているイントラネットを利用して、教師が授業のまとめや練習問題を送ったり、生徒の質問に答えたりできるシステムだ。学校によっては教師がビデオで授業をしたり、メールのやり取りをしたりできる。

その他、23日からは国営テレビのフランス4やアルテなどが各年齢向けの授業や、学習要綱に沿った教育番組を放映したり、ネット上で公開したりする。「Ma classe à la maison」は同時に1500万件のアクセスが可能だとされているが(幼稚園から高校までの児童・生徒は約1270万人)、実際には、当初はつながりにくかったとの苦情も出ている。各校のイントラネットもアクセスの問題が起きた地域もあったようだ。パソコンなどの端末がない児童・生徒は全国で500万人いるとみられており、各市町村が何らかを対策を採ると教育省は請け負っているが……。

また、教育省は医療、治安、エネルギー、輸送部門など働き続ける親の子どもを預かったり、登校させたりできる「最低限の公共サービス」の設置も明らかにした。これに対応する保育士や教師は、健康で、自分の子どもの世話を見なくていい人に限られるが、どれだけの保育所、幼稚園、小中学校が児童・生徒を迎えることになるのか、その実態はまだ不明。需要を見ながら各職場の近くに受入れ施設を設けることになりそうだ。

中学修了証試験やバカロレアは?

 中学修了証書(brevet)のための試験や、バカロレア(大学入学資格試験)が延期になるかどうかの点も気になるところだ。まだ休校期間がはっきりしない現時点では教育省も明言を避けており、春休み後に学校が再開されれば問題はないが、そうでなければ9月実施、夏休み先送り(教員の反対は必至)の可能性もあり得る。全国校長組合は、休校が長引いた場合はこれまでの成績を元にした書類審査によるバカロレア採点の可能性も示唆している。

大学などの高等教育機関についてはイントラネットによるeラーニングや課題レポートによる教育の継続、企業内研修の免除、帰省できない学生の大学寮残留許可や食費支援などの措置が高等教育・研究省から19日に打ち出された。交換留学制度で外国におり、留学期間終了に近づいた学生の帰国は外務省が支援する。また、フランスに留学中の外国人学生は可能なら帰国が奨励されているが、不可能なために滞在許可証が切れる場合は許可証の延長が可能になる。

また、教育省は3月中旬~4月初め行われる予定だった教員採用試験を時期未定で延期しており、実施が難しくなると新学年9月に教員不足に陥る可能性もあるとしている。コロナウイルス感染が依然として拡大し続けるいま、教育の様々な面への影響はまだ計り知れない。(し)


 

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