1~2月の計画停電の可能性が現実味
来年1~2月頃に計画停電はあるのか? ボルヌ首相は12月1日、各県の知事に計画停電に備えての準備をするよう通達を送った。その通達内容や政府筋の情報から、仏各紙は計画停電の際の方針や、予想される状況について報じている。
政府は、厳冬の場合に事前に地域を区分して順番に電力の供給を一時停止する輪番停電の可能性を8月末から挙げており、10月にはエネルギー消費量を今後2年間で10%削減するための具体策を発表していた。
その後、11月中旬に仏電力会社(EDF)の子会社、送電網会社(RTE)が来年1~2月に電力需給がひっ迫するリスクが「高い」と警告を発したことで、計画停電の可能性が現実味を帯びてきた。配管腐食と点検のためEDFの原子炉56基の半分以上が稼働していない状況はやや改善され、現在は20基程度になったものの、その修理は当初の計画より遅れているためだ。
通常は電力を輸出しているフランスだが、この冬はドイツ、英国、ベルギーなど隣国から電力を輸入する手はずもとられている。
8時~13時 / 18時~20時の間に2時間程度の計画停電の可能性
仏各紙の報道によると、厳冬になって国内電力生産と輸入が不十分な場合は、コルシカ島以外の本土全土で輪番停電になる可能性がある。その場合、病院、警察、消防署、軍事施設、刑務所、公道照明や重要な製造業など優先度の高い施設、また、電気を使用する医療機器が不可欠の自宅療養者を除き、電力使用の多い8時~13時あるいは18時~20時の間に2時間程度、計画停電になりうる。
停電の状況を知るには、RTEのウェブサイト/アプリ「Ecowatt」(写真下www.monecowatt.fr)を見れば、電力需給のひっ迫状況が緑、オレンジ、赤で日々示される。居住地域圏が「赤」になった場合は、住所を入力すれば前日17時に停電の有無がわかる。EDFの配電子会社Enedisのサイトでも、住所入力で停電が事前に確認できるほか、テレビでも事前通知される予定だ。計画停電の対象になるのは国民の6割程度で、一度の停電で400万~600万人が影響を受けるとみられている。
Ecowattのページ
Enedisのページ
日常生活への影響:電話、休校、交通機関運休など
停電の場合は、学校は午前中休校になる。列車やメトロも停電の時間帯は運休する可能性が高いようだ。通信事業者オランジュによると、電話のアンテナへの電気が供給できないため、電話はほぼ使えなくなるという。救急の場合は通信事業者に関わりなくつながりやすい112番(医療救急15、警察17、消防署18が統合された番号)にかけるよう推奨されている。
計画停電が1月に必ずあるというわけではなく、省エネ努力が大事とRTEは強調。計画停電の可能性がメディアで話題になるなか、マクロン大統領は3日、「パニックにならないように」、国民が節電を実行し、EDFが原発修理を続ければ乗り越えられると逆に鎮静化を呼びかけた。
フランスの電力消費は主に製造業の省エネにより、フランスの最近4週間の電力消費は主に製造業の省エネにより、2014-19年の同期の平均に比べて6.6%減少しており、公共のテレビCMで推奨しているように、一人一人が節電を実施しつつ厳冬に備えることが大事だろう。(し)