リンゴのジュースを自然発酵させたものがシードル。古代エジプトやギリシャでも、すでに飲まれていたという。リンゴの栽培に向いた気候をもつノルマンディーやブルターニュ地方では、12世紀くらいからシードルが作られるようになった。
何種類かのリンゴのジュースをブレンドしながら、それぞれのリンゴの甘み、酸み、苦みをどう生かすかで味が決まってくる。3%以内で発酵を止めたものは、まだリンゴジュースの糖分が十分にアルコール化していないので甘みが強く、「doux」と呼ばれる。それ以上に発酵させて甘みが薄くなったものが「sec」あるいは「brut」で、アルコール度は5%から8%。
このシードルを蒸留すればカルヴァドスというリンゴ風味の素晴らしい蒸留酒になる。今週末は豚のほほ肉をシードルで煮たけれど、ヒラメなどの魚をシードルで煮て、仕上げに生クリームを加えたものは、ノルマンディーの名物料理です(サバのシードル煮は789号に)。(真)