自分が好きなもの、食べたいものだけを出す。
おしゃれなブティックが立ち並ぶ、9区南ピガール地区コンドルセ通りにあるレストランCUISINE。アンティークなファサードが懐かしい雰囲気のこの店で、シェフを務めるのが稲沢貴雄さん。ソムリエのブノワさんと5年前に店を開き、徐々に地元の人気を集めてきた。ブランケット・ドゥ・ヴォーなど定番フランス料理もあれば、焼売(シューマイ)やちらし寿司などをアレンジした日本の家庭料理もあり、ジャンルにとらわれないバラエティに富んだメニューが魅力だ。
高校生の頃から料理の仕事に携わっていた稲沢さん。20代半ばで渡仏を決めた。「日本でフランス料理をしていましたが、フランスの実際の文化に触れずに料理を作っているのは変だと思ったんです」。その後数軒を経て、10区のワインバーLe Verre Voléでシェフを6年務める。今の共同オーナー、ブノワさんと出会ったのもこの店だった。Le Verre Voléの後、11区Septimeで働いていたブノワさんが選ぶのは、こだわりのナチュラルワインだ。
パリで店を開くことにしたのは、この地での人間関係の良さを実感したから。「自分にも他人にも優しい人が多い。日本での人間関係は、自分にとっては厳しくて固かった。でも、ここでは人間らしい人と多く出会ったので、パリで生きていこうと決めたんです」。顧客の多くは40〜50代のフランス人だが、日本テイストのメニューはとても喜ばれるそうだ。
一方、リエーヴル・ア・ラ・ロワイヤルなどのクラシックなフランス料理も、できる限り出すようにしている。「自分が好きで食べたい料理を出しています。奇をてらうことなく、自分たちのやりたいことだけを貫いてきた店です。お客さんが、おいしかった!楽しかった!と思ってくれれば、また帰ってきてくれる。そんな常連さんたちに支えられています」。(恵)
CUISINE(キュイジーヌ)
Adresse : 50 rue Condorcet, 75009 Paris , FranceTEL : 01.4463.7564
アクセス : M°Anvers
URL : https://restaurantcuisine.fr
月19h30-22h. 火〜金12h-14h/ 19h30-22h 土日休 昼:メニューのみ 24-29€ 夜:アラカルトのみ 前菜13-21€、メイン27-48€、チーズ盛り合わせ・デザート10€前後。