菊池大輔さん(39歳)
1924年からマレ地区の街角に佇む老舗ビストロ、Café des Musées。長い歴史の中、オーナーも料理人も数多く変わった。そして今、厨房を守るのが菊池大輔さんだ。
高校卒業後に料理人を志し、地元埼玉のフランス料理店で働いていたところ、フランスでの仕事の話が舞い込み即決。2カ月後にはBourg-en-Bresseのレストランで仕事をしていた。「シェフと料理人2人だけの小さな店。言葉もうまく通じないまま、とにかく働きました」。それ以降は名店で仕事をするためにミシュランのページをめくり、星が付いた店に手紙を書いて出し続けた。
レストラン数軒で働く中、最も影響を受けたシェフは南仏ラ・テュルビーにあるHostellerie Jérôme のブルーノ・チリノ。「発想が自由で、その時に浮かんだイメージを次々と皿に反映していく。フランス料理の型にはまらず、彼にしかできない料理を作っているブルーノは自分の目標です」。
地方を中心に3年ほど経験を積んだ後、現在の店のシェフとなった。10年が経った頃、「もう一度ガストロノミーの店で働きたい」と退店。しかし、シェフを失った店は評判が落ち、常連の足も遠のいたため、オーナーのラブコールにより菊池さんは再びシェフに戻る。そして、しばらくして無事評判を取り戻した。老舗ビストロとはいえ、味を“守っている”感覚はないという。
「10年前と比べても、今出している料理は違う。これからはもっとレストラン風の料理に変えていく予定です」。当店のオーナーとともに、今後はパリでコンセプトにこだわった店を出していきたいという。「地元のお客様に喜んでもらえる、空間も含めて楽しめる店を作りたい。フランス料理にとどまらず、日本のエッセンスを加えることも考えています。まだ構想中ですが、アイデアが尽きるまで何店でも出したいですね」 。(恵)
Café des Musées
Adresse : 49 rue de Turenne, 75003 ParisTEL : 01. 4272. 9617
アクセス : M° Saint-Paul
無休。月〜木 12h-14h30 / 19h-22h30 金〜日 12h-16h / 19h-23h