Boldini, Les plaisirs et les jours
「生前有名だったが、死後忘れられた造形作家」の再評価を狙った展覧会がよく開催される。ジョヴァンニ・ボルディーニ(1842-1931)もそうした画家の一人だ。北イタリアに生まれ、5歳の時から、絵の才能を見込んだ父親の支援を受け、画家の道を一直線に進んだ。
パリに住み始めたのは28歳の時。たちまち画商がついて、近代化されつつあるパリの風景で評判を得た。しかし彼の真骨頂は肖像画にあった。卓越した技巧で描いた社交界の人々の肖像画が賞賛され、ベルエポックを代表する肖像画家となった。
そこで思い出したのが、建物を覆う作品で有名なクリストだ。ブルガリアから無一文でスイス、その後パリに来て、上流社会の人々の肖像画を描いて生活した。当時の肖像画は飛び抜けて上手いのだが、本人は肖像画で生活することを「売春しているよう」と言っていたという。他にやりたいことがあるのに、とりあえずできることで食いつなぐ。それをやめて物を包み始めた時、自分のスタイルを発見した。
かたやボルディーニは、肖像画を自分を最高に発揮できる分野と見て、晩年は肖像画しか発表しなかった。華やかな衣装の女性は優雅だが、次の瞬間消えてしまいそうな儚(はかな)さがある。等身大の肖像画の前に立つと、束の間の美しい夢に浸ることができる。(羽)7/24まで。
Petit Palais Musée des Beaux-Arts de la Ville de Paris
Adresse : av. Winston-Churchill, 75008 ParisTEL : 01.5343. 4000
URL : https://petitpalais.paris.fr
火〜日 10h-18h (金 -21h) 14€/12€