ジュエリーの知識を一般に広めるため、2012年にパリにできた宝飾芸術学校は、ダニエル・カサノヴァ通りの本校舎で宝飾展を開いてきたが、今年6月、展覧会場をグラン・ブルヴァールにある18世紀の歴史的建造物に移した。移転後初の催しは、国立劇団「コメディー・フランセーズ」の舞台の宝飾品の展覧会だ。
1680年創立の同劇団では、初期には俳優が衣装と宝飾品代を出し、劇団が払い戻していたが、その後、劇団で制作するようになった。自分の持ち物を使う俳優もいたが、舞台で使う宝飾品は劇的な効果を上げるためにあるので、本物である必要はない。金の代わりに銅の合金を使い、宝石はガラスやセラミックで作るなど、模造素材を使い、技巧を凝らして限りなく本物に近づけた。電気のない時代、舞台では光ることも重要だった。素材の違いを除けば、技術は高級宝飾とほぼ同じだった。19世紀には、舞台専用の模造宝飾品工房がパリに50〜100軒あったという。
有名俳優と愛用の宝飾品にもスペースを割いている。19世紀の名優タルマは、ナポレオンから贈られた銅の合金でできた月桂冠を被り、ローマ皇帝ネロを演じた。19世紀半ばに夭折した天才女優ラシェルがラシーヌの「フェードル」で場面に合わせて被ったティアラ、大女優サラ・ベルナールがユゴーの「リュイ・ブラース」で王妃を演じたときに使った王冠も展示されている。
演劇、美術、工芸、歴史、文学を網羅しているので、これらのどの分野に興味のある人にとっても「見てよかった」と思える展覧会だろう。(羽)10/13まで。
L'École des Arts Joailliers (Paris - Grands Boulevards) / Hôtel de Mercy-Argenteau
Adresse : 16 bis bd Montmartre, 75009 Paris , Franceアクセス : Richelieu-Drouot(ligne 8,9), Grands Boulevards (ligne 8,9)
URL : https://www.lecolevancleefarpels.com/
火〜日 11h-19h 木 21hまで 9/13-17、 9/27, 28 休館 無料 予約要 無料ガイドツアー 火13h, 水13h, 木18hと19h.