ボーヌの名所、 施療院(オスピス・ド・ボーヌ)へ。
Hospices de Beaune (Hôtel Dieu)
色鮮やかなモザイク屋根のオスピス・ド・ボーヌ。オテル・デュー(直訳すると「神の宿」。かつて教会によって営まれていた病院)とも称されるこの建物は、1443年に大法官ニコラ・ロランとその妻ギゴーヌ・ド・サランが創設したもの。貧困と疫病にあえぐ人々のための施療院として大きな役割を果たし、20世紀に至るまで利用されていた。
現在は博物館として公開されており、当時の患者のベッド、看護の様子や食堂の再現、またフランドル絵画の最高傑作のひとつとされるロヒール・ファン・デル・ウェイデンの祭壇屏風画「最後の審判」などを見ることができる。
オスピス本体は現在も場所を変えて病院や老人ホームを運営しているが、その存在を特に有名にしているのは、毎年11月第3日曜日に開催されるワイン競売会(下コラム)だろう。1457年に最初のブドウ畑が寄進されてから、現在では60ヘクタールを所有し、その畑のブドウから造られるワインがチャリティーオークションにかけられる。
昨年2022年の競売会の総売上は802樽で2900万ユーロを記録!名実ともにプレステージな競売会として世界中に知られる。なお、競売会による利益は病院の設備や医学研究、またオテル・デューの維持に使われている。
Hospices de Beaune – L’Hôtel-Dieu
Rue de l’Hôtel-Dieu 21200 Beaune
Tél : 03.8024.4500 無休、9h-19h30。
12€/8€/4€/10歳未満無料。
日本語のオーディオガイドあり。
musee.hospices-de-beaune.com
オスピス・ド・ボーヌのワインオークション。
La vente des vins des Hospices de Beaune
オスピス・ド・ボーヌのワイン・オークションは、おそらく世界で最も有名なワインのチャリティー・オークションだが、1859年から行われてきた最も歴史の長いものでもあり、今年は162回目。総面積およそ60ヘクタールのオスピスの畑で採れたブドウから、22人ほどの醸造者がワインを造り、2022年は802樽(一樽は228ℓ)が競りにかけられた。ブルゴーニュ・ワインの格付け*でも最高の、特級、一級などが競りにかけられることともあり、例年、世界のワイン愛好者の注目を浴びる。
競りにかけられるワインは、競売の年に収穫されたブドウから造られた新酒。オークション後、熟成、瓶詰めされる。プロのバイヤーは、オスピスの醸造所でそれら新酒を樽から試飲して目星をつける。遠方の人たちのためには、オークションを行うサザビーズが世界の都市で前年のワインの試飲会も催すのだそうだ。
今年は昨年より少なめの、753樽。売り上げはオスピスが運営される医療研究所に寄付されるが、毎年、一樽だけの「Pièce de Charité(またはPièce des Présidents)」が選ばれ、そちらの売上げは、年ごとに違う医療・健康分野のアソシエーション(市民団体)に寄付される。この特別な樽は、ブドウも厳選中の厳選、樽も特別な木を使って造られる。今年は、Mazis-Chambertin Grand Cruが選ばれ、樽にはパリのノートルダム大聖堂の尖塔再建に使うオーク材と同じ森のオークが使われているそうだ。
今年のオークションは11月19日。オスピス・ド・ボーヌ前の大きなホールで行われる。一般は入れないが、会場前の広場には大きなスクリーンが設置され、オークションの様子を追うことができる。
*ブルゴーニュ・ワインの格付け
Les Grand Crus de Bourgogne 特級(グラン・クリュ)
Les appellations Premiers Crus 一級(プルミエ・クリュ)
Les appellations villages (村名アペラシオン)
Les appellations régionales(地方アペラシオン)
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【特集】おいしいボーヌ。は、4回に分けて掲載します。
〈その1:ワイン編〉
〈その2:ブルゴーニュ名物のおいしいもの。食べ物・レストラン編〉
〈その3:オスピス・ド・ボーヌ:
歴史あるチャリティー・ワイン・オークションと、ワイン祭・栄光の3日間〉
〈その4:ボーヌのフランス料理店
Le Benaton(ル・ベナトン) 杉村 圭史さん〉
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ブルゴーニュ最大のワインのお祭り!
ワイン祭、「栄光の3日間」、ボーヌではすべてがスペシャル!
11月17日 (金)〜19日(日)
この3日間、ボーヌの街中ではPlace Carnotを中心に試食・試飲会、セミマラソン、音楽演奏、ボーヌならではのワイン栓抜き競争などもある。そして、有名な 「ボーヌ・ワインのワイン・オークション Vente des Vins de Beaune」は、19日14h30スタート。一般は入場できないが、オテル ・デュー前のPlace de la Halleに設置されるスクリーンで、ライブで見ることができる。
ボーヌ・ワインのチャリティー・オークションが開催される週末2日間、老舗ワイン商パトリアルシュでは、特別なカーヴ見学&試飲会(画像下)を開催。メゾン・シャンピは18日はガラ・ディナー、19日はキャビア、トリュフ、フォアグラなどを楽しむとびきり贅沢なブランチを開催。興味ある人はサイトで詳細を。
■ パリからボーヌへの行き方 :
パリ・ベルシー駅からBeauneまでは直通のTER電車で約3時間半。リヨン駅からTGVでディジョンなどで乗り換えると2時間半前後。ボーヌ駅から中心街までは徒歩20分ほど。車ならパリからボーヌまで3時間半ほど。
◉ ボーヌ観光局
Office de Tourisme Beaune & Pays Beaunois :
6 Boulevard Perpreuil 21200 Beaune
03.8026.2130 www.beaune-tourisme.fr
◉便利なパリからのバスツアーも。
https://activities.his-j.com/TourLeaf/PAR0290/
写真と文 : 吉田恵理子
取材協力 : Office de tourisme Beaune & Pays Beaunois
Bourgne Franche-Comte Tourisme