ジャン=リュック・ゴダール監督の映画で有名な女優アンナ・カリーナさんが、14日、パリの病院で息を引き取った。死因はガン。79歳だった。夫でアメリカ人映画監督のデニス・ベリーに看取られ亡くなった。
1940年デンマーク生まれ。女優になろうと1957年ヒッチハイクでパリまでやってきた。モデル業を始め、17歳で石鹸のコナーシャルに出演。アンナ・カリーナと芸名をつけたのは、ココ・シャネルだった。
ゴダール監督がコマーシャルフィルムでアンナを見て、『A bout de souffle 勝手にしやがれ』脇役の出演を依頼したが「脱がないといけないなら嫌だ」と断った。1961年、同監督『Petit Soldat 小さな兵隊』に出演したが、アルジェリア戦争反対の作品は公開禁止に。同作品の撮影後、ふたりは61年に結婚。その後、6作品の撮影を共にする。
61年の『女は女である』(1961)のアンジェラ役で、ベルリン映画祭にて女優賞を受賞。『Pierrot le Fou 気狂いピエロ』(1965)でジャン=ポール・ベルモンドと共演、ヌーヴェル・ヴァーグを代表する女優となる。ジャック・リヴェットの『La Religieuse 修道女』(1966)ほか、アニエス・ヴァルダ、ジョージ・クーカー、ルキーノ・ヴィスコンティ、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー、ブノワ・ジャコ監督らの作品に出演した。
2018年の『Pierrot le Fou 気狂いピエロ』のベルモンドとのキスシーンがカンヌ映画祭の公式ポスターに使われた。同年、彼女の監督作品である『Vivre ensemble』が再上映されたり、歌のコンピレーション・アルバムをリリースするなど、ヒロインの再来と騒がれた。