Alaïa avant Alaïa
先月オープンしたディオールの大きなミュージアムと対照的な、小さなアライア財団の展示室はマレ地区、BHVから歩いて10秒ほどのところにある。クチュリエのアズディン・アライア(1935-2017)は1987年、ここにアトリエを構えた。コレクションの時期に合わせるのではなく、自分のペースで新作の発表を続け、広告なども打たずに活動を続けた。
かつてはショーも行われたガラス屋根の下で「アライア以前のアライア」展が開催されている。幼少期から下積み時代、世界的なクチュリエとなるまでをたどる展覧会だ(10/23まで)。
チュニスに生まれ、母の助産婦マダム・ピノーからヴォーグ誌を見せてもらい絵を描き始め、チュニスの美術学校で彫刻を学んだアライア。映画「醜聞殺人事件」のリタ・ヘイワースに魅了され、「苦い米」のシルヴァーナ・マンガノのように自分も半ズボンをまくりあげていた若い頃…。
50年代パリに渡り、ディオールのドレスの構造を知ろうとスケッチしていた青年は、服作りを通して上流階級の女性たちと交流を持つ。作家のルイーズ・ド・ヴィルモランもそんな女性の一人だった。アルジェリア戦争でマグレブ出身者には職が見つけにくかった時代もくぐり抜け、友人のつてで憧れのディオールのアトリエに短期間入ったこともある。ボディコンシャスなセクシーな服で知られるアライアとディオールの世界は別世界の人のようだが、アライアの服作りの原点にはディオールがいた。
「女性が学校だった」という彼は、小さい頃から妹のハフィダ、知性と美貌のポンパドゥール夫人(今、財団がある場所にかつて住んでいたそう)、グレタ・ガルボや引退後の女優アルレッティら多くの女性から洗練を学び、創造性を刺激され服を作り、賞賛された。
財団発足は2017年。ムッシュ・アライアが収集した芸術品と彼がデザインした服を所蔵。展覧会に入らなくても書店もパティオ的なカフェも利用できる。(六)
◉Fondation Azzedine Alaïa
18 rue de la Verrerie 4e Tél :01.8744.8775
無休、11h-19h。 8€/3€。 M°Hôtel de Ville
カフェと書店は11h-20h.
Fondation Azzedine Alaïa
Adresse : 18 rue de la Verrerie, 75004 ParisTEL : 01.8744.8775
アクセス : M°Hôtel de Ville
URL : https://fondationazzedinealaia.org/