1975年のクララ・ハスキル国際ピアノ・コンクール、1978年のリーズ国際ピアノ・コンクールで優勝し、国際的に注目されたフランスのピアニストがミシェル・ダルベルト。2年前に、前奏曲集第2集を含むドビュッシーのアルバムが高く評価されたが、最近出たガブリエル・フォーレ集も素晴らしい。
たとえば初期のバラードでは、華麗なアルペジオが、切れ味のいいタッチで弾かれているし、中期の夜想曲6番では、半音階的な分散和音にのって流れていく精妙なメロディーが、ダルベルトの手にかかると高貴な色合いを帯びてくる。晩年の夜想曲11番は、音程も狭まり音数も少なくなるのだが、その分、一つ一つの和音に秘められた情感が深まり、息をひそめた語りのように響くダルベルトの演奏は類がない。
今回のパリ公演*では、フォーレの曲のほかに、セザール・フランクの傑作『前奏曲、フーガと変奏曲』やベートーヴェンのソナタ14番 『月光』を弾く。(真)
*19日 20h30。15€〜55€。