ブルターニュ地方のコンカルノ市に、 かつおぶし工場が登場した。
鹿児島県の枕崎水産加工業協同組合と、かつおぶし関連会社9社が出資して設立した「枕崎フランス鰹節」の工場だ。東南アジアに生産拠点を置くかつおぶし企業は数社あるが、フランスでは初めて。スペイン北西部ビゴーでは東京「和田久」が、かつおぶしを作っている。
8月31日にはコンカルノ市長、ブルターニュ地域圏議会副議長ほか、関係者およそ200人が参加して竣工式が行われた。欧州の日本料理店や家庭などをターゲットに、まずはフランス人6人と日本の技術者2人体制で、1日約1トンのかつおから、200キロの花かつおを作るペースで操業を開始する。
工場を設置するのにフランスの西端に近いコンカルノを選んだ理由は、欧州有数の漁港でかつおの供給がスムーズなこと、それを冷凍保存する設備などが整っていることだった。原料となるかつおは、現地の水産会社CFTOから、インド洋(セイシェル沖)で獲れる2〜4キロほどの大きさのかつおを仕入れる。原料の仕入れから、削りパックまで一貫生産する工場は、今日では珍しいという。
工場を作ろうと思ったきっかけは3年前、枕崎フランスの大石社長がパリの日本食店で、だしが使われていない味噌汁を飲んだのがきっかけだった。EUは、かつおを薪で焙すときに付着するベンゾピレンが発がん性物質あるとして輸入を禁止している。なんとか焙乾を工夫して、その規定をクリアしようと試行錯誤を続けて今日に至ったが、どこをどう変えたのかは「企業秘密」。
「作るからには日本産に負けない、ブルターニュ産のかつおぶしを作っていきたい。そして『フランスでこんなに美味しいかつおぶしが作られている、日本でも美味しいものを作ろう』と、日本のかつおぶし業界を刺激できれば」と大石社長。
今後、ますますフランスの日本料理のレベルが上がって、手軽においしい味噌汁が飲めることが期待できそうだ。(集)
枕崎フランスのブルターニュ支店長のインタビュー「かつおぶし初体験は14歳、 グエネル・ペリランさん。」もどうぞ。
http://ovninavi.com/815interview/