11月30日、「〈ノワール・デジール〉は終わりです。嘆かわしい理由でこのグループに人工呼吸を続けることはやめることにします。私たちの間に隔たりや誤解があり、望むことも異なっていたのでしょう」とドラマー、ドニ・バルトは〈ノワール・デジール〉の解散を表明した。
1987年の『Où veux-tu qu’je r’garde』から2001年の『Des visages, des figures』まで〈ノワール・デジール〉は6枚のアルバムを出した。ハードロックに近いギターのうなり、力強いリズム、そしてベルトラン・カンタは、心の痛みや社会への怒りを熱唱し、若者から中年層までの広いファンの心をつかんだ。「肉と肉との激しい闘い 丘が燃えている 影の中にせよ光りの中にせよ 行き着く先は幻覚にとらわれている 僕は道を失ったがまだ座礁してはいない」(最後のアルバムの中の『Lost』より)。契約を結んでいたユニヴァーサルの社長を公に批判したり、アルバム収入をバンドの4人で平等に分配するなど、新しいショービジネスのあり方も模索した。
グループの悲劇は、2003年7月26日リトアニアのビリニュスで、カンタが、恋人の女優マリー・トランティニャンを、口論の末殴打し死亡させたことに始まる。カンタは懲役8年の刑を受け、2007年に仮釈放される。
そして〈ノワール・デジール〉復帰を前にした今年の1月、カンタの元恋人で、裁判中、裁判以降もカンタを支援し、グループの核的存在だったクリスティナ・ラディが自殺。この重なる悲劇で、2011年発売予定のアルバム制作に大きなブレーキがかかり、メンバー間にも亀裂が生じ、今度の解散となったのだろう。(真)
写真:〈Noir Désir〉の解散は、日刊紙のトップで扱われた。12月1日付リベラシオン紙。