1945年以来の大寒波が訪れているとのことで、最高気温がマイナスの日が続く今のパリ。暖流の影響で、雪は年に数回しか降らないのが常なのだが・・・もしかすると、今年は結構降るかもしれない。そんな寒い冬の、初雪が降った翌日。私は電話で友人のエレナと話していた。
「今日は昨日の雪が夜にアイスバーンになって、それがまだ溶けていないはずだから、スリップや事故を起こす車がとても多いはず。歩道を歩く時には車と同じ進行方向に歩いちゃだめよ。特に坂道は注意して。クルマの動きをじっくり見て、何かあったら避けられる準備をしっかりしてね。それにウォークマンを聴きながら歩かないで。タイヤの滑る音が聞こえないからね」。最初は冗談かと思い、駅までの下り坂をのんびり歩いていると、わずか数百メートルの間に事故の形跡を3つも発見! 壊れた塀にヘッドライトの破片、軽く曲がった街灯。彼女の言ったことは本当だったのだ。道路に止まっている車を見れば、大半が使い古した溝の少ないタイヤを装着。車が多少へこんでも気にしないパリっ子たちが、年に数回しか降らない雪のために、いちいち冬タイヤに交換するわけもないか。
今日見たことを、エレナに報告。「言ったとおりでしょ。それとね、これからノエルの季節はパーティがたくさんあるでしょう。酔ったまま運転する人が多いから、運転している時、変な動きをする車がいたら近づいたらだめよ。巻き込まれないようにね」。確かに今まで出席したパーティで、「そんなに飲んで帰りはどうするの?」との問いに、「フランスではワイン2杯まで大丈夫。ビールなら3杯までよ」と、みんな口を揃えて答えていた。
磨り減ったタイヤでアイスバーンを疾走する酔っ払い・・・年末のパリを歩く際、頭の片隅にでも入れておいた方がいいでしょう。(和)