フランス政府の、治安を理由にしたロマ人国外退去措置(前号『ロマ人受難の夏』を参照)に反対するデモが、人権擁護団体など100以上の市民団体の呼びかけで、パリ、マルセイユ、ナントなど140カ所で行われ、11万人以上が参加した。左派政党からだけでなく、右派内にも反対する人がかなりあり、またフランス国内にとどまらず、欧州各国のマスコミや政治家、バチカンなどからも非難の声が上がっている。
「今、私たちの国旗に恥辱のしみがついた」
ドミニク・ドヴィルパン前首相。
「2007年、希望を与えてくれたニコラ・サルコジ氏に多数が投票した。現在は、彼の治安に関する演説で、愛とは反対の感情が生まれている」
クリスチーヌ・ブタン民主カトリック党党首。
「聖書には、すべての人が救われると繰り返し書かれている。それは多様な人間を受け入れるようにという教えでもある」
教皇ベネディクト16世。
「私は、サルコジ大統領が心臓マヒの発作に襲われることを祈っている」
リール市郊外で、ロマ人支援活動を行っているエルヴェ神父。後にこの発言を、後悔していると釈明。
「ロマ人に対する人種差別的な意思表示や暴力が増えていることが懸念される。情報を分析すると、ロマ人たちは出身国に集団的に国外退去されているようだ。国外退去される各個人からの自発的で、はっきりとした了解なしで」
国連の人種差別排除委員会のリポート。
「ある人種が後ろ指をさされ、差別の対象になるリスクがあると、ヨーロッパでの忌まわしいイメージが思い出される。人々の恐れをかき立て、感情や本能をもてあそぶのは、世論調査での支持率を上げようという魂胆があるからだ」
イタリアの日刊紙ラ・レピュブリカのエッジオ・マウロ編集長。
「危険なことだ。あるカテゴリーの人たち、それに値しない人たちに、怒りや復しゅう心を仕向けるようにすることは、犯罪的なゲームだ。正直言って、誰がいったい、ロマ人たちが国家の治安を危険にさらすと考えることができるのか?」
作家のジル・ペロー。