パリといえば通りに軒を並べるカフェ。カフェがパリに現れたのは実は17世紀後半のこと。それまでは居酒屋が全盛を誇り、住民200人に対して1軒の居酒屋があったほどで、セーヌ河畔の市場近くなどには500軒も集中していた。居酒屋は酒を飲むだけの場所ではなく、気晴らし、会話を楽しむ場所として市民の憩いの場だったが、フランス革命前には治安が悪化。兵士や人夫、日雇いの溜まり場になり、刑事事件が多発して治安当局が規制に乗り出した。
同じころ、トルコから渡ってきたコーヒーが浸透する。コーヒー(カフェ)を出す場所、カフェがパリを賑わすのは約10年後の1684年。シチリア人のプロコピオがサンジェルマン界隈に仏語名「プロコープ」で店を出したのが火付け役となり、18世紀にはカフェの数が数百軒を超え、居酒屋はカフェに主役を譲った。(み)