マスタードといえばディジョン、と思いきや、カラシナを栽培し種子を挽いて果汁に混ぜる製法を最初に生み出したのは3000年前の中国人。それがイスラム圏に渡り、ローマ帝国を通してフランスに上陸。〈ディジョン=マスタード〉の図式は、1361年ブルゴーニュ公の催した宴でマスタードを用いた料理が振る舞われ、人気を博したことによる。
またディジョンの伝統菓子パンデピスも、10世紀の中国で作られていた小麦粉とハチミツのお菓子〈ミ・コン〉が起源。これがアラブ諸国に渡り、11世紀に十字軍がヨーロッパに持ち帰る。当初はハンガリー、ドイツ、オランダ、ベルギーを中心に広がったが、1369年フランドルのマルグリット王女がブルゴーニュ公国のフィリップ3世に嫁ぎ、ディジョンにも定着。思いもかけず、香辛料を介して中国とディジョンは結ばれ