初夏の陽気に誘われ、ブルターニュ通りに面した市場〈Marché des enfants rouges〉に友人と出かけたら、通路にまでテーブルを並べた小さなワインバーがある。隣はナチュラルワインを売っている店…とても気に入ったトロワの朝市を思い出して(630号)、迷わず、といっても外のテーブルはほとんどいっぱいで暑かったので、店内に入り込んだ。全部で12人くらいしか入れない店で、エスタミネ(ベルギーや北フランスの大衆酒場)というイメージとはちょっとずれるけれど、テーブルが大きくてゆったりとしていてくつろげるのがいい。
前菜は、バジリコなどが入った今週のおすすめスープもあったが、二人で豚肉製品の取り合わせ小(6.5€)を一つとった。ワインは、ナチュラルワインを造っているDomaine de Pascal Pibaleauのガメー種の赤をグラスで(3.5€)。これが、フルーティーでスッキリとした飲み口でいながら、どこか深みのある味で、極上のハモン・セラノや自家製テリーヌによく合う。
メインの温かい一皿は〈本日のおすすめ〉のトリ料理しかないということなので、もちろんおまかせです。付け合わせのポレンタは焼き方のせいだと思うけれど、ふっくら感が足りない気がしたが、溶けかかった山羊乳チーズがのっかったトリには舌鼓。fermierならではの歯ごたえがうれしい。ソースにハチミツが入っているのは流行だが、ここの店のはほどよい甘さで合格点。グラスが空になったので、こくのある南仏ルシオン地方のDomaine des Schistesの赤をグラスで。うまい。
デザートは、おなかいっぱいで断念しようとしたら、「ミニ・ムース・オ・ショコラはどうですか?」。いただきま~す。小さなコップに入ったそれは、ビターなチョコレートたっぷりで、最近の卵の白味たっぷりムースとはけた違いのうまさで、2€。(真)
L'Estaminet des enfants rouges
Adresse : 39 rue de Bretagne, 75003 Paris , FranceTEL : 01.4272.2812
火~土9h-20h。日9h-14h。月休。