「シャネル同様に、私は自分のデザインした服のコピーが出回ることを受け入れてきました。世界中の女性たちが、パンツスーツやスモーキングを着てくれることは大いなる誇りでした。現代の女性たち向けの数々の服を創ることによって、私の時代の変容に寄与できたと思っています。(…)モードは単に女性を美しくするためのものではなく、彼女たちに信頼感を与えて自信を持つことを可能にするものである、と思っていました。モードを通じて自分のエゴを満足させるという一部のデザイナーの考え方にはずっと反対でした。こんな考え方とは逆に、女性のために尽くしたいと思っていたのです。彼女たちの体、生き方、人生に役立ちたかったのです。(…)私は恐怖と激しい孤独を味わい、精神安定剤や麻薬といった偽りの友の世話になったりしました。神経衰弱者のための牢獄ともいうべき精神病院にも入りました。『神経過敏な者たちの、素晴らしくもみじめな家族は、大地の塩である』ということをプルーストから学びましたが、私も、知らないうちにこの家族に属していたのでしょう」
2002年1月、イヴ・サンローランの、最後のファッションショーでの引退の辞。
DICO
●prêt à porter(プレタポルテ 名詞)
高級既製服を意味するプレタポルテはすっかり日本語として定着したが、フランス語で書くと “prêt-à-porter”。「すぐに着ることができる」という言い回しが名詞化したものだ。男性用プレタは “prêt-à-porter masculin”、女性用プレタは “prêt-à-porter féminin”となる。プレタポルテをいくつか買うという時は “acheter des prêts-à-porter” となる。 オートクチュールは “haute couture”。オートクチュール・コレクションに参加している会社は “Maison de la haute couture” と呼ばれる。(真)
●処女性で嘘をついたため結婚無効の判決
リール大審裁判所が4月に、妻が処女であると嘘をついたため結婚を無効とする判決を下したことを受け、議論が沸騰している。結婚解消を望む当事者夫婦を保護することにもなると、当初は判決に賛意を示していたダチ法相だが、与野党両陣営、女性団体などからの非難の声が大きくなり、6月2日、検察局に控訴するよう要請。判決は処女性を云々するものではなく、「当事者の自由な合意」を妨げる嘘を戒めたものであるが、結婚前の女性の処女性を求めるイスラム原理主義などに譲歩するものだとして、非難の声が高まった。6日には判決に反対する欧州議会議員150人の署名が法相に届けられた。
●バス事故で中学生7人が死亡
6月2日、オート・サヴォア県アランジュで社会見学から帰る途中の50人の中学生と教師ら6人を乗せた貸し切りバスが踏み切りで急行列車と衝突して大破し、中学生7人が死亡、20人余りが重軽傷を負った。バスの後ろにいた乗用車は、バスが線路の信号が赤に変わって遮断機が降りる直前に線路内に入ったため、反対側の遮断機が閉まって踏切から出られなくなったと証言。3日に過失致死容疑で取調べを受けたバス運転手は、信号機が赤になって踏み切りに入ったことを否定し、踏切内で反対側から来た4輪駆動車を避けるのに手間取ったと供述した。
●シラク氏の弁護士の事務所、家宅捜索
6月5日、シラク前大統領の弁護士であるジャン・ヴェイユ氏の事務所が家宅捜索された。家宅捜索したのは仏領ポリネシアのパペーテ大審裁判所付きのジャン=フランソワ・ルドネ判事で、同地のジャーナリスト、ジャン=パスカル・クロー氏の失踪事件(1997年)を捜査中。クロー氏は失踪当時、シラク氏と親しいポリネシア前大統領ガストン・フロス氏の隠し資金の一部がシラク氏に渡った可能性について調べていた。フロス氏の個人警護部隊の元メンバーが2004年に、クロー氏は同部隊に殺害されたと証言し、捜査が再開されていた。ルドネ判事はまた4日にパリの対外治安総局DGSEの事務所を家宅捜索した。DGSEはシラク氏の日本における銀行口座の存在について調べていたとされている。
●教育相、高校改革案を教員組合に打診
ダルコス教育相は6月3日、高校改革の草案を教員組合と高校生組合に通知した。それによると、改革の主目標は高等教育への進学促進、進路指導の改善、各高校の自立性促進などで、教師が一方的に講義する形式の授業を減らし、生徒の自立性を促す個別学習やグループ学習をより頻繁に導入すること、教師の仕事も通常の授業だけでなく、補習や個別指導、進路指導などより多様化させることなどが盛り込まれている。また、サルコジ大統領は2日、新しいバカロレア制度の2012年からの実施、教員育成制度の大幅な改革などを、教育相の高校改革案を追認する形で発言した。
●軽油高騰に、トラック運転手ら抗議運動
長距離トラック運転手が各地で徐行運転するなど、軽油・ガソリン高騰に対する抗議運動が広がるなか、ビュスロー運輸担当相は6月5日、運送業者に対する支援策を明らかにした。その内容は、社会保障費や職業税などの分割払いや、石油製品内国税TIPPの運送業者への一部還元として、2008年度第1四半期分の6割に当たる1億ユーロの払い戻しを行うことなど(通常、払い戻しは半期ごとであるのを前倒し)。しかし、トラック輸送業者は対策を不十分として、抗議運動を継続する構えだ。
●高額所得者150人が所得税払わず
課税特例措置に関する国会調査委員会は6月7日、調査結果を公表した。それによると、2006年の高額所得者、上位1000人のうち、116人が所得税を平均93%減額(各人100万ユーロ相当)されていることが判明。さらに平均100万ユーロの所得を得ている150人が所得税を全く支払っていないか、主税局から税金の返還を受けていた。同委員会は、海外領土・県の産業振興策として認められているホテルや住宅建設投資による所得への非課税措置などは税制の不公平を助長するものとして、その是正を求め、課税特例措置の対象となる所得上限を定めるよう要求。しかし、ラガルド経済相は10日、包括的な上限設定に難色を示した。