「(大統領の発言を聞いて)私の血は凍りついてしまいました。こういうことを10歳の子供に押しつけることは、想像もできないし、耐えがたいことだし、正しくもないことです。一人の子供に、亡くなった一人の子供の身になってみるようにと要求はできません。この歴史を背負うのはとても辛いことです。私たちのように実際に収容された者でも、そこで経験したことを、家族や友人であっても語ることはむずかしいのです」 2月13日、仏ユダヤ人団体代表者評議会主宰の夕食会でサルコジ大統領は、9月からCM 2の生徒各自にホロコーストで犠牲になった子供一人の名前を覚えさせ、ホロコーストについて学ばせると演説したが、その夕食会に同席したシモーヌ・ヴェイユ元欧州議会議長の発言。ヴェイユ氏はアウシュヴィッツ強制収容所に16歳の時に収容され、そこで母と姉を失っている。 失せろ!バカ野郎! 2月23日、国際農業見本市を訪れたサルコジ大統領、握手をしようとした見学者に「触らないでくれ。汚れてしまう」と断られ、思わず冷静さを失い「Casse-toi, alors! Pauv’con, va!」と応酬。 |
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2月24日、オリヴィエ・ダアンが監督するエディット・ピアフの伝記映画『La Môme』に主演したマリオン・コティヤールがアカデミー賞の主演女優賞に選ばれた。フランスの女優としては、1960年のシモーヌ・シニョレにつぐ2度目の栄誉。 | ||
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●小学校でのホロコースト学習に議論沸騰 サルコジ大統領は2月13日、仏ユダヤ人団体代表者評議会主催の夕食会の席上、2008年9月から小学最終学年(CM 2)の児童にホロコーストで犠牲になった子供について学ばせると発言し、政界や教育界に議論を呼び起こした。教員組合は教育への政治介入と感情に訴える教育法の押しつけを厳しく非難したほか、小学生にホロコーストの悲劇を語ることでトラウマをひき起こす危険を懸念。ダルコス教育相は18日、大統領の提案を実行に移すような学習法を9月までに準備すると発言。 ●ヴィリエ・ル・ベルで一斉検挙 2月18日朝、ヴィリエ・ル・ベルとその周辺地区(ヴァル・ドワーズ県)で1100人の警官を動員しての一斉検挙が行われた。これは、昨年11月に治安部隊を標的にした暴動の犯人を逮捕するための作戦で、36人が拘束され、うち21人が取り調べを受けた。昨年11月の事件は、パトカー1台が2人の若者が乗ったミニバイクと衝突し、その2人が死亡したことに端を発し、3日間にわたって若者と治安部隊が衝突して発砲や放火に発展した(警官131人が負傷)。また、今回の一斉検挙を事前に知った多くのジャーナリストが検挙の模様を撮影して報道したことに批判の声が上がっている。 ●コソボが独立宣言、フランスも国家承認 2月17日、セルビアのコソボ自治州議会はセルビアからの独立を宣言した。セルビアはこの独立を無効としているほか、ロシアも反対。米国が国家承認したほか、フランスも18日に承認を表明した。欧州連合(EU)加盟27カ国のうち英・独など18カ国が承認を表明しているが、スペインなどは承認を拒否。EU外相理事会は18日、承認は各加盟国の判断に任せると決定した。EUは警官ら1900人規模の文民支援隊をコソボに2年間派遣し、4カ月後に国連コソボ暫定行政支援団(UNMIK)を引き継ぐ。 |
●成長ホルモン裁判、相次ぐ証言 2月6日に始まった成長ホルモン裁判で20日、小人症患者の治療用の成長ホルモンを製造する目的で死者の脳下垂体を収集した団体〈フランス脳下垂体〉について1992年に報告書を作成したフランソワーズ・ラランド博士が証言。同博士は、〈フランス脳下垂体〉がドナーの身元や病歴などを記録せずに収集していたと証言。また15日には、ピチエ・サルペトリエール病院で当時神経科部長だったイヴ・アジッド教授が、当時はクロイツフェルトヤコブ病(CJD)の感染経路は分かっていなかったと証言。この事件では死者の脳下垂体から製造した成長ホルモン投与(1983~85年)によってCJDに感染した110人が死亡した。 ●〈保護観察留置〉は合憲 特に危険と思われる犯罪者を刑期終了後も留置所に収容する〈保護観察留置〉を新設するダチ法について、憲法評議会は2月21日、基本的には合憲との判断を下した。しかしながら同法施行前に刑を言い渡されている者、同法施行前の犯罪への同法適用は制限するべきで、電子ブレスレット装着や治療などの義務を遵守しない元受刑者に限るべきとした。同法ではこの措置の対象者として15年以上の懲役刑を受けた者、とくに性犯罪者を想定しており、すでに32人の保護観察留置者リストを法務省が作成。評議会の判断に対し、サルコジ大統領は22日、ダチ法の即時適用を可能にする措置の策定を破棄院院長に依頼。司法官組合はリスト作成や大統領の動きを強く批判。 ●食品価格、11月から急上昇 国立消費研究所(INC)が発行する月刊誌〈6000万人の消費者〉は、3月号で、乳製品や穀物類の価格が昨年11月から今年1月の間に5%から48%も上昇したという調査結果を掲載した。とくにヨーグルトは17~24%、牛乳は20%、パスタ類は45%も上昇。食品生産者団体は小麦の価格上昇(72%)、卵の価格上昇(36%)などによって値上げは必然的としているが、INCによるとこの大幅値上げは原料価格高騰だけでは説明できないとしている。 |