9月28日、ベルシーに新生シネマテークが難産の末ようやく誕生した。国がシネマテークと映像資料館を統括した映画センターを計画してから20年あまり。内部分裂がささやかれたり、ライバルのフォーラム・デ・ジマージュにお株を奪われたりと低空飛行気味だった元祖シネマテーク。この移転を機会に、再び映画ファンの心をワシづかみにすることができるかに注目が集まる。 オープニングの目玉は、偉大なルノワール親子に展示や上映でオマージュを捧げる「RENOIR/RENOIR」。また10月末まではハリウッドのウエスタン映画の特集上映も。常設展示の映画博物館や映画図書館もお忘れなく。(瑞) 51 rue de Bercy 13e 01.7119.3333 http://www.cinematheque.fr
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●Moi, toi et tous les autres アメリカのとある地方都市。老人専用の個人タクシー運転手が靴屋の店員に恋をする。自宅で独りビデオ作品制作に没頭する主人公は内気な性格だが、靴屋の存在が気になり、終いにはストーカーまがいの行動をとるようになる。一方靴屋は、離婚のショックから抜けきれず、なかなか次の恋に踏み出せない。そしてこの二人を取り巻く人々それぞれにも日常がある。なんでもない日常が寓話のように映像で綴られていく。この処女長編の前に、ビデオではすでに多くの短編を撮っている監督のミランダ・ジュリーに主人公の像が重なる。はにかみやの自己表現、というほのぼのした感じが好ましい。今年のカンヌ映画祭で新人賞を獲得。(海) |
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Olivier Gourmet 公開中の映画『Le Parfum de la dame en noir』では、物語の鍵を握る新郎役で登場のオリヴィエ・グルメ。カンヌで大賞を受賞したダルデンヌ兄弟監督作『L’Enfant』の公開(10月19日公開)もすでに秒読み段階。映画は、彼のやぶにらみ気味の視線と神経を逆なでする特異な存在感を、まだまだ必要としているようだ。 1963年7月22日、ベルギーのナミュール生まれ。幼い頃から周りを笑わすことが得意だった彼は、喜劇役者を目指しリエージュのコンセルヴァトワールに入学。首席で卒業後は舞台を中心に活躍する。だが彼が映画俳優として開花するのは、一連のダルデンヌ兄弟作品から。「俳優として魂のある生身の人物 を演じたい」と語る彼は、以後も役の大小に関わらず作家性の強い作品を選ぶ。代表作に『ナショナル7』、『La Petite Chartreuse』、カンヌ主演男優賞受賞作の『息子のまなざし』。障害者、労働者、ブルジョワとどんな役でも、人物の真実を掘り下げ人生そのものを生きてしまう。生半可な監督では、彼の厳しい役者根性に射抜かれ、到底太刀打ちできない。なお10月17日からダルデンヌ兄弟全作品の公開*があるので、この機会にグルメを再発見されたし。(瑞) *Centre Wallonie-Bruxellesにて10/25迄。 01.5301.9696 46 rue Quincampoix 4e |
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