スペインの総選挙3日前、3月11日のマドリード列車連続爆破テロ(死者約190人、負傷者約1500人)を、バスク独立武装組織 「バスク祖国と自由 (ETA)」の犯行と2日間言明し続けた国民党アスナール政権。 ETAの犯行否定声明に次いで、ゴミ箱から見つかったビデオでイスラム過激派組織アルカイダ欧州軍事広報官が「ブッシュ政権協力国への回答」と犯行声明。小型トラックからは爆弾やコーラン、起爆装置につながる携帯電話などを発見。政府の選挙操作とみられる「ウソ」に対し投票者は「ノー」の反対票を突きつけ、社会労働党サパテロ書記長が率いる左派政権を復帰させた。9割近い国民同様にイラク戦争に反対してきた同書記長はイラクからの撤兵と、アスナール政権のブッシュ盲従の姿勢から、EUの中軸、仏独協調へと180度の転換を表明。 9・11と3・11。ビンラディンを頂点に頂くアルカイダによるツインタワー同時爆破テロからちょうど2年半。EU圏の突端スペインを狙った列車連続爆破テロをEU議会コックス議長は「民主主義への宣戦」とみなす。9・11と3・11の間にアフガニスタン、イラク侵攻、その後も米主導駐留軍が現地のテロに手足をとられている中、チュニジアのユダヤ教会堂、バリ島のディスコ、カサブランカのスペインレストラン、イスタンブールのユダヤ教会堂と英国領事館…、アルカイダの無差別テロの標的は欧州の一部、トルコにまで達していたのである。 アルカイダの報復リストには、イラク戦争参加国スペインのほか、英・伊・日・ポーランド、同組織の活動家を多数検挙したドイツ、そしてビンラディンが「十字軍参加者Croises」と言明するキリスト教徒とユダヤ人も含まれている。さらに2月末、同組織の理論家アルザワリは「シラク大統領による校内での回教徒生徒のスカーフ禁止令は、イスラム教徒に対するキリスト教徒の敵意の表れの一例」とフランスにも警告。 1980~90年代アフガンキャンプで訓練を受けた約10万人のアルカイダ兵は現在半数といわれる。確固とした組織を持たない彼らは各国に散らばり組織の細分化を続け、現地の若い支持者を巻き込み、小グループの自発的行動を可能にしているという。マドリード連続爆破テロもその一例だろう。 イスラム聖戦を掲げるアルカイダの攻撃は、西洋にとって戦線なき第三次大戦と言えないだろうか。(君) |
アルカイダの報復リストにはスペイン、英国、イタリア、日本、ポーランド、ドイツ、フランス…、キリスト教徒やユダヤ人も。
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