Merlan sauté à la sauce pimentée
今回は暑いときにおいしい魚料理を作ってみよう。唐辛子やライムがきいたソースをあらかじめ作って冷ましておき、あとは、メルランのような白身魚のおろし身をソテーするだけという簡単料理だ。
30センチくらいのメルランを2尾買って、魚屋さんに皮付きのまま3枚におろしてもらいましょう。皮付きにするのは、この方が味もよくなるし、火を通すときに身くずれしにくいから。
まず、トマトベースのソースを準備する。トマト6個は、湯むきしてから四つに割って種のところをとりのぞき、さいの目に切っておく。エシャロット5、6個とニンニク6片は、皮をむいて細かくみじん切り。日本でいう〈鷹の爪〉に似た小さな唐辛子piment-oiseauは、二つに割って種をとり小口切り。
フライパンかソトゥーズにオリーブ油をたっぷりとって、エシャロットを炒めていく。これが透明になったらニンニクを加え、いい匂いが立ったらトマトを加える。唐辛子も半分ほど入れ、木のへらで絶えず混ぜ合わせながら5分ほど炒める。塩、コショウ。味見して辛さが足りないようなら残りの唐辛子も加える。トマトの形が残っているくらいがちょうどよく、火を止めて冷まします。
皮付きのメルランのおろし身の両側に塩、コショウし、まず皮の方を下にして中火でソテーする。きれいな焼き色がついたら丁寧にひっくり返し、20も数えたらでき上がりだ。とり出して、身の方を下にしてクッキングペーパーの上に置き、余分な油をとりのぞく。
冷めたトマトソースにライム1個分の搾り汁を混ぜ入れる。このソースを大皿に敷き、メルランをのせ、オリーブ油を一筋かけ、塩の華少々を振りかければ完成。繊細な白身と、ちょっと辛くてさっぱりしたソースの組み合わせに舌鼓、暑くても食欲が進みます。ワインはムスカデなどの辛口の白!(真)
●merlan
大きくても35 センチくらいのタラ科の魚。最盛期にはキロ3ユーロ前後になったりする大衆魚だ。目が澄んでいて、胴に張りがあるものを選びたい。おろし身の形でも売られている。味はとても繊細だが、身がくずれやすいのが欠点だ。ソテーするときは、今回のように皮付きにするといい。また、おろし身をアルミホイルで包み焼きにしたり、衣をつけて揚げたりするのもいい。魚のスープに加えれば、身がくずれて適度のコクを出してくれる。
●塩の華 fleur de sel
塩の華は、塩田の水面で最初に結晶するものをすくい取ったもので、塩味は優しく風味豊か。でき上がった料理に少々振りかけます。値が張るものなので、塩ゆでするときに使ったりしてはいけません。最近はスーパーでも簡単に手に入る。気取って、パッケージにすくい取った人の名前まで書いてあったりする。
●唐辛子 piment
昨年のオヴニー9月1日号は「辛い」特集でした。パリでは辛~い唐辛子というと、中華街やアフリカ街に出かけて行かなければならない。日本の鷹の爪に似たpiment-oiseauや、超辛で名高いpiripiriが並んでいる。後者は、本当にピリピリ!! 選ぶときは、アフリカ人でもビニール袋ごしにへたをそっとつまんでいる。素手でつかんで目をこすったりしたら、死にます! アフリカレストランでは、みじんに切ったものが、料理に添えられてくる。これをちょっと加えないと、料理の味も深くなりません。
●台所のフランス語|filetfilet
filetfiletは、肉のヒレや、トリの胸肉、そして魚のおろし身を意味する。魚をおろすことはlever les filetsといい、メルランなどは一尾から2枚とれるが、カレイのような平たい魚からは4枚とれる。