ヤノマミ(ブラジル・アマゾンに住む少数原住民)は実際、滅亡の危機に瀕している。アマゾンの森の激しい伐採、金採掘者による森の破壊、水銀汚染など。北側による戦争と不公正が世界をおおい尽くすような今日において、滅び行くかも知れないヤノマミの生きざまは、物質生活に溺れそうな私たち北側の現代人に、どのような示唆を与えてくれるのだろうか? この問いに答えるかのように、12人のアーティストたちの多くがシャーマンの村ワトリキに出向いて、数カ月を共に過ごし、同じものを食べ、共有体験する中で、シャーマンの儀式やヴィジョンをもとに、ヤノマミへの木霊のように作品を創った。それらがドキュメンタリーとともに、カルチエ財団美術館で展示されている。構成はP・ヴィリリオがキュレーションした〈ce qui arrive〉展に近いが、もう27年もヤノマミ研究をしているフランスの人類学者ブリュース・アルベールが同財団キュレーター、エルヴェ・シャンデスと共同企画したものだ。 12人のなかには、クラウディア・アンデュハールのように、70年代初頭から一貫してヤノマミを撮り続け、その作業を通じて、ブラジル政府に対してヤノマミへの認識を決定的なものにした写真家や、ロタール・バウムガルテンのように、外界との交渉をいっさい断って、ヤノマミたちと18カ月も共同生活を続け、しかも最初の8カ月は決してカメラを取ろうとしなかった作家もいる。レイモン・ドパルドンは、ワトリキに滞在したシャーマンの所作とその治療を受ける人々を克明に記録した映画を撮った。 三宅一生デザイン事務所のクリエーターとして服作りをしている滝沢直己は、シャーマン、ダヴィ・コペナワの話とヤノマミが描いたデッサンをもとに、万華鏡のような映像をヴィデオ映像と鏡のインスタレーションによってつくり出した。 地球上の生物多様性の宝庫である森林の大半を伐採してしまった〈文明人=現代人〉の世界を、危機的な状況と喝破したダヴィの言葉に耳を傾けなければならない時が来ているのかも知れない。(Kolin) |
*カルチエ財団美術館 : 261 bd Raspail 14e 10月12日まで。 (12h~20h 月休) |
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ダ・ヴィンチの素描と手稿。
ルーヴル美術館でレオナルド・ダ・ヴィンチの素描と手稿の展覧会が催されている。ルーヴル所蔵のコレクションだけでなく20ばかりのヨーロッパの美術学院からも出品されていて、画家がどのように絵の創造に取り組んだか理解できる。 14歳の彼が、フィレンツェの彫刻家ヴェロッキオの元で修行をした時に描いた衣のひだを見ると、彼がボリュームを出すことに興味を持っていたことが分かる。 展示されている大部分の素描が、どの作品の準備のためだったかが明確に説明されている。素描は、さまざま拘束があった完成画よりも自由で、より多くのことが描かれていて非常に興味深い。また素描が優雅さを感じさせると同時に、力を放っていることにも驚かされる。『聖アンヌと聖母子』の原画を、その下準備となった11枚の念入りな素描と比べることができる。 ダ・ヴィンチの習作は、容貌を細かく再現することを目指して、科学的、精神的な探求を遂げているが、そこには、彼のたゆまぬ好奇心が現れている。 ダ・ヴィンチの素描のほかに、ボルトロッフィオなど弟子の素描も展示されていて、その中の何枚かには、ダ・ヴィンチが訂正した線がはっきり見える。絵の理論を執筆する計画をしていたダ・ヴィンチの12冊の手稿も展示されていて、よりよく彼の素描を理解できる。(ニコル) |
*Musee du Louvre, Halle Napoleon |
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●Enki BILAL(1951-)《32 DECEMBRE》 新刊アルバムの原画32枚。7/26迄 Gelerie Christian Desbois:14 av. de La Bourdonnais 7e ●Antonio Recalcati (1938-) ●《Paris-Harare-Paris/5+5》 ●《En direct de Dublin》 ●《Le Daguerreotype francais》 ●Nicolas BRUANT(1951-) ●《Les Molas》 ●Pierre SOULAGES(1919-) ●江戸時代 (1603 – 1868) 美術展 ●Jean-Henri LARTIQUE (1894 -1986) ●LARTIQUE《同時展》 ●Bernard FRIZE(1954-) |
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