Rosa Parks fait le mur
ローザ・パークス (1913-2005)は、アフリカ系アメリカ人が白人と同じ権利を求めて闘ったアメリカの公民権運動に大きな役割を果たした女性だ。白人と非白人を隔離した人種分離法が南部諸州に存在していた1955年、アラバマの州都モンゴメリーの市営バスの中で白人席と非白人席の中間地帯に座っていたパークスは、混んできたとき、運転手から白人に席を譲るよう要求されたが、ガンとして座り続けたため法律違反で逮捕された。これをきっかけに、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアがモンゴメリーのすべてのアフリカ系アメリカ人に1年間のバス乗車拒否を呼びかけ、大きな抗議運動に発展した。その後、全米に広がった公民権運動は政治に多大なインパクトを与え、1964年に、人種や宗教などによる差別を撤廃する公民権法が成立するに至った。パリの北東の路面電車に、彼女の名を冠した駅がある。それに加え、2015年12月に、RERのE線にローザ・パークス駅が新設されたのを記念し、19区のリケ橋から駅近くまでの400mに及ぶ壁に、仏、米、コロンビア出身の女性4人、男性1人のストリートアーティストが住民と協力して壁画を描くことになった。題して「ローザ・パークスは (差別法の)壁を越える」。制作にとりかかる前に、地元のアソシエーションが、住民が参加するアートやポエトリー・スラムのワークショップ、ミーティングをアーティストと共に行った。コーディネートを務めたヴィットリオ・パリシさんは「パークスには、公の場所での女性の役割、市民権、差別をなくすための闘い、共生という、私たちが今も抱える問いかけがあります。これらをテーマにワークショップを行いました」と言う。若者グループ間の抗争があり、出身地や文化別のコミュニティで分断された地域に、ローザ・パークスの理想を蘇らせたいという願いが込められている。アーティストのなかでは、地域女性にインタビューして、彼女たちの肖像を描いたタチアナ・ファズラジラド、移民問題を渡り鳥で詩的に描いたバルタルディアの作品が印象的だ。(羽)
場所:19区Rue Riquetの線路をまたぐ部分と、164 rue d’Aubervilliersの間。M°Riquet。壁画は6月まで。