1970年法により、大麻(cannabis)など麻薬の摂取・所持は最高懲役1年+3800ユーロの軽罪扱いだったが、昨年8月、上院で成立し10月16日に発布された政令により、大麻の摂取・所持も、無免許や無保険車運転、盗み(300€以下)などと同格の罰金対象になり、警官は、裁判所を通さずに罰金(90€/135€/375€)だけで処理できる。これは司法官の荷を軽くするため。この措置はサルコジ内相時代にすでに提案されていた。だが、パーティなどに持って行ったりするとディーラー扱いになり犯罪人に。
パリジャン紙(10/19付)によれば、15〜64歳のフランス人の41%(欧州の平均23.3%)はすでに大麻を味わったことがあり、17歳の若者の半数は、調査前の1カ月間にも吸っているというから、大麻の広がりは予想以上。70万人は日に2、3回吸う常用者だという。価格は現在コカイン1g : 80€、大麻1g 10€〜15€。毎年、8.8%ずつ需要が増加している。
10月17日から18日にかけて、パリ16区のエグゼルマン大通りに数日間停車していた3台の小型トラックから7.1トンの大麻樹脂が見つかった。スペイン経由のモロッコからのものとみられるが、容疑者は挙がっていない。最近だけでも9月始め、スペインに近いバイヨンヌで320キロ、その一週間前にはルーアン付近で193キロと、ほとんどの大麻がパリに向かう途中で押収されている。7月にはマルセイユでも2人の男が乗っていた車から150キロの大麻が発見され、その1人の住居から5.8トンが押収された。
2010年初期まで衛生管理局は、特にアルコール中毒を問題にしてきたのだが、ジャンキーとまではいかなくても、トレーダーやアーティストらは覚せい剤を常用するとみられてきた。9月10-16日付 L’OBSの「職場のドラッグ」特集によると、レストラン従業員から、弁護士、ホテル内、建設労働者、スーパーの従業員、コンピュータ技師…空港のグランドハンドリング作業員まで、ストレス解消と、仕事の効率を上げるためにもヤクが必要だという。大麻による事故を減らすために、経営者は監視カメラや内部告発に頼るしかないよう。
大分前から郊外に拠点をおくディーラーが、13歳未満の少年を見張り番や届け人として使っている。大麻の摂取・所持が罰金扱いになったことは、官報には掲載されたものの大々的にメディアで発表されなかったのは、大麻はどこまでも非合法の麻薬であることを示すため。オランド大統領もトゥレーヌ保健相も大麻の合法化は極力避けたいのだが、罰金制により大麻関係の罰金収入を見込む ? でも密輸ルートはますます盛んになりそうだ。(君)