コウノトリが帰って来た。ブルゴーニュ地方のディゴワン村では、教会の鐘楼の上のコウノトリが、5つ目の卵を産卵中で村の注目を集めている。春になると、河川流域にエサを求めてアフリカから舞い戻って来る。〈赤ちゃんを運んでくる〉縁起のよい鳥とされたり、帰巣本能で同じ巣に戻って来ることや、浮気しないことなどから〈誠実〉の象徴ともされている。
70年代に絶滅が危ぶまれたが、保護対策が功を奏し、数も増えている。ここロワール河流域の村にも2001年から毎年、産卵と子育てに来るようになった。ロワール河自然観測所では、巣のある教会の屋根にカメラを取り付け、コウノトリの家族を観察。観測所長によれば、近辺の湿地帯にも20羽くらいいるという。
増えたのはいいが、最近では旅立たない 〈定住型〉も増えている。ナントの周辺や、コウノトリがシンボルマークのアルザス地方でも、気候の変動などにより冬でもエサにありつけるようになったため、定住するのだそうだ。
卵が孵化(ふか)するまで、あと約1カ月。ヒナが生まれる頃には、木々も青々とした、本格的な春になっていることだろう。(実)