その名の通り、おいしいブイヨンが味わえるこの店では、昼の日替わり(14€)が狙い目だ。本日は鶏の赤ワイン煮で、片手鍋のまま供される鶏は、深いワイン色で大人の味。添えられたピュレが絶品で、上質のジャガイモとバターだけではなくて、生クリームも入っているのか、濃厚な味わいがとても印象的。もう一つ、看板メニューのマッシュルームのブイヨン(12€)も忘れてはいけない。キノコってなんでこんなにおいしいダシが出るのだろうと思わせる深い褐色のスープに、ほとんど生のフォアグラの小片とフレッシュなコリアンダーが浮んでいる。ごく細切りの根セロリの食感も小気味よい。小ぶりのマッシュルームは、パリ近郊産の〈本物〉のパリのキノコだそう。カッペリーニやそうめんなどの極細のパスタを足して思う存分味わいたいねと、友人と意見が一致した。
主菜には筒切りのヒラメのロースト(24€)を試してみる。ノワールムーティエ近海で捕れたヒラメは肉厚で、しっかりとしまった白身は新鮮な証拠。付け合わせは、粗めにつぶしたカボチャにピクルスの酸味が効いている。
結構な食べ応えがあったので、デザートは軽めにと思っていたのに、周りの人はみんな頼んでいるし、見た目がおいしそうだったので、日替わりデザートバニラ風味のミルフィーユ(12€)を頼む。注文してから作ってくれるらしく、到着するまで結構時間がかかったが、それだけの価値がある、パリパリのパイ生地とふんわりクリームのバランスが見事。
店自体は気の置けないビストロ風だが、シェフのマルクさんは、テレビ番組にも出演中のジャン=フランソワ・ピエージュ氏の右腕だった人。高級食材を的確に調理して、しかも多くの人に味わって欲しいという心意気から、無理のない価格設定が嬉しい。前菜からデザートまですべてがおいしく、温かみがあり、人と分かち合うのが嬉しい料理ばかり。(里)
Bouillon
Adresse : 47 rue de Rochechouart, 75009 paris , FranceTEL : 09.5118.6659
火~土 12h-14h30/19h-23h30 日月休。