熟成加減の違うクロタン・ド・シャビニョル。 直径5cm、高さ4cmほど。手前の2つが「repassé」。
白ワインで名高い町、サンセールだが、そこから車で10分ほどのところにあるシャヴィニョル村。ここで作られている〈クロタン・ド・シャヴィニョル〉という山羊乳チーズは、この地方を代表する名産品の一つ。この山羊乳チーズはどこでも手に入るのだが、サンセールにあるFromagerie Dubois-Boulay*でなければ手に入らないのが「repassé」と呼ばれる、梅干しでも入っていそうな瓶で1カ月ほど熟成させたクロタン(1.9€)。チーズのミモレット・ヴィエイユやカラスミのようなねっとりしたうま味が加わって格別。こんなクロタンが粉々にならず、うまく切り分けられるナイフなどの雑貨も充実している。(里)
*1 rue des Juifs, Sancerre 02.4854.1058
●サンセールのカーヴ巡り。
サンセールは小高い丘の上にあるが、その丘のふもとからのロワール河岸の左岸にかけて広がる2500ヘクタールのブドウ畑。町には生産者直営などのワインカーヴがいくつもあって試飲できるので、カーヴ巡りは一番の楽しみ。
ここのワインは土壌によっておおまかに3つに分けられる。酸味のバランスがとれた石灰質calcaires、上品でまろやかな石灰粘土質argilo-calcaire、ミネラルと繊細な香りの火打ち石silex。火打石は石同士を叩き合わせると、きな臭い匂いが漂う。このいぶしたような香りがワインからも感じられるのが面白い。同じサンセールのワインでも、土壌の違い、収穫されるブドウ畑の違いなどでさまざまな味の違いがあることに驚かされる。
通常、白ワインは長く保存しないが、いいできの年のワインを、5、6年熟成させたものを流通させようという計画があるとか。味見させてもらったものは、角が丸くなって芳香麗しかった。
-Domaine Fouassier
サンセールに住む友人おすすめの生産者直営カーヴの一つ。高級品が多いサンセールのワインが、比較的手軽な価格で手に入る。ボトルのエチケットが土壌によって色分けされていて選びやすい。白ワインには珍しくベリー系の香りがするLes Chasseignesと洋梨やハチミツの香りのClos Paradis(各10.5€)は、石灰質の土壌から生まれたワイン。
180 av. de Verdun, Sancerre
02.4854.0234
-Alphonse Mellot –
Domaine de la Moussière
町一番の高級ワインを扱うカーヴとあって、「今まで敷居が高くて入れなかった」という友人とともに試飲に挑んだら、意外にも丁寧な接客で、ひととおりのワインを試飲をさせてくれた。ぜひ試したいのが火打ち石土壌由来の個性を明確に味わえるLa Demoiselle(27€)。白ワイン以上にお安くはないのだが、赤ワインも素晴らしい。
Rue Porte César, Sancerre
02.4854. 0741
-Domaine Vacheron
サンセールを代表するドメーヌの一つ。ワイン造りの現場で試飲ができる。
1 rue du Puits Poulton, Sancerre
02.4854.0993
●Auberge la Pomme d’Or
平日ランチ20€~、週末ランチとディナー31€~のコースあり。カジュアルな雰囲気で20席のこぢんまりとした店。予約時間の遅刻には厳しいのでご注意を。
1 rue de la Panneterie, Sancerre
02.4854.1330 火・水休 。
●サンセール散策
天気がいい日なら、近辺に広がるブドウ畑へ散歩にでかけたい。
-La Maison des Sancerre
ワインに関して様々なことが学べる。
3 rue du Méridien, Sancerre 02.4854.1135
6月~9月:10h-19h/4月、5月、10月、11月:10h-18h。 7€/5.6€。10歳未満無料。
-Office de Tourisme(観光局)
Esplanade Porte César, Sancerre
02.4854.0821
-パリ・ベルシー駅から約1時間40分でCosne-sur-Loire。CosneからSNCFのバスでSancerreへ(朝、昼、夕と日に3本くらいの運行数なので要注意)。バス込みで片道19.1€~32.8€。