冬になると、一度はアルザス風ブラッスリーに出かけてシュークルートが食べたくなる。最近は、アンコウやらロブスターやら魚のクネルが入った「海の幸のシュークルート choucroute de la mer」も登場し、なかなかの人気。でも、ほかほかと湯気を上げるシュークルートと一緒に味わうには、「田舎風 paysanne」などという名前のついた、柔らかく煮上げられた豚の三枚肉やさまざまなソーセージが入っているものに限る。キャベツの軽い酸味と、豚肉やソーセージの相性のよさは、みごとのひと言につきる。
ミュンヘンに数週間滞在した時、ドイツ人の友人のおとうさんが、ザワークウラウト(シュークルート)の名店に、ボクらを招待してくれた。彼のおすすめは「Eisbein mit Sauerkraut!」。「eisbein」は、すね肉jarretだという。それならボクの大好物。ところが、出てきた、そのスネ肉の大きいこと。もちろん厚い脂身をもった皮付きだ。フランスのものより酸味が強いシュークルートだから、肉もうまいがこのとろけそうな脂身にため息が出る。残念ながら量が量だからさすがに食べきれない! そしたらおとうさんの眼が光った。「このお肉とその脂身を取り替えっこしませんか?」。「だからこの大きなおなか!」という友人のからかいをものともせず、おとうさんはその脂身もぺろりと平らげた。偉大な食欲に心から脱帽。
ブラッスリーでシュークルートをきちんと平らげたかったら、アントレはなし!(真)