今回は動物と人との関係をあらためて考えさせられる絵本&児童書を3冊紹介。
①KAKO le terrible
主人公は愛らしいカバと飼育係。この絵本(エマニュエル・ポラック作/バルー画)の表紙は、一見ほのぼのとした印象を与えるが、実は物語は容赦ない。1903年にパリ植物園のメナジュリーで、飼育係がカバに襲われたという実際の事故から着想を得て作られた本なのだ。飼育係が手塩にかけて育てたカバだって、野性の血が流れる動物。人間とは違う。こんな単純な事実を確認することも、動物尊重の気持ちとつながるのではないか。対象年齢は5歳〜。
②Humanimal, notre zoo intérieur
2冊目は、人間の体や行動を動物と比較してみせるミニ百科事典(ジャン=バティスト・ドゥパナフュー作/ブノワ・ペルー、リュシー・リオラン画)。様々な動物との比較は、そのまま人間の長所と欠点を写し出す鏡だ。ユーモア溢れるイラストは、子供たちを自然科学の世界へと手招きする。クラゲやトカゲと人間の共通点は? 答えが気になったら、子供と一緒にこの本を開いてみよう。8歳〜。
③Cheval de guerre
人間の都合で数奇な運命をたどった軍馬ジョーイが見た第一次世界大戦。この一冊は、英国人作家マイケル・モーパーゴによる、ちょっと優等生的だけど静かに胸を打つ反戦児童小説。米トニー賞を受賞し、ロンドンをはじめ欧州各地でロングラン中の演劇版やスピルバーグの手による映画版も名高い。10歳〜。(瑞)
Ed. Gulf Stream 15€。
Ed. Folio Junior 6.9€。