パリの環状線「ペリフェリックPériphérique」が開通して、今年でちょうど40年という節目の年を迎えた。1920年代に取り壊されたパリを囲む城壁の外側と建築規制跡地を利用し、1973年4月25日に完成した1周約35kmのこの道路は、パリと近郊29の市町村、地方都市、隣国をつなぐ重要な都市高速道路(無料)としてスタート。今なおこの環状線は多くのドライバーにとって、なくてはならない存在となっている。
1日の利用車数は、欧州ナンバーワンの約130万台。現在は、利用する車があまりにも多く、それによって引き起こされる騒音、大気汚染、交通事故の対策のため、様々な改革が行われようとしている。その筆頭に挙げられるのが、今夏を目安に最高速度を80kmから70kmに引き下げるというものだ。利用者たちは、「速度を10km下げることで問題は解決されない。原因は他のところにある。自動車業界の根本から変えていかなければ、何をやっても問題解決にはならない」と改革実施に不満の声を上げている。
ペリフェリックを日本の首都高速と比較すると、驚くほど走りやすく感じる。その理由のひとつが、進入車に優先権があることだ。すでに走行中のドライバーは、予め一番右側の車線を走ることを避けるため、合流は実にスムーズ。その次に挙げられるのが、片側2~5車線ということ。慢性的な渋滞さえなければ、見晴らしがよく、かなり先まで見えるため気持ちよく運転することができる。難点は案内標識が分かりにくいため、降り口を間違えてしまうことがあるといったところか。
時代と共に問題を抱えてしまったペリフェリック。今後の行く末は分からないが、これからも私たちに多大な恩恵を与えてくれることだけは間違いない。(和)