魚も高くなってきて、キロ20ユーロをこすものが多い。そんな中でサバはまだまだキロ7ユーロ前後と安い。そのうえ栄養価も高く、庶民の味方です。1尾250グラムくらいのサバを、4尾買ってくる。頭をとってはらわたを出し、水でさっと洗って水気を切ったら、尾を切り取ってから二つか三つに筒切り。エシャロット、タマネギ、ニンニクはいずれもみじん切り。
まずサバを煮るクール・ブイヨンの準備です。ソトゥーズや底広の鍋にバターを大さじ2杯とり、それが泡立つような感じになったら、エシャロットとタマネギを炒める。中火。タマネギが透きとおってきたら、ニンニクを加える。ニンニクの香りが立ちのぼったところで、シードルを注ぎ、ブーケ・ガルニを加える。ボクはそのブーケ・ガルニの中に丁字も1本入れる。軽めに塩、コショウし、沸騰してきたら火を弱くし、15分ほど煮て冷ましておく。このシードルは辛口brutに限ります。
クール・ブイヨンを冷ましている間に、マッシュルーム250グラムを洗ってから薄切りにし、少量のバターで炒めて水気を飛ばす。
ソトゥーズのクール・ブイヨンの中にサバを並べ、沸騰してきたら弱火に落とし、フタをして10分ほど煮たら、ブーケ・ガルニをとり出す。こわさないように慎重にサバもオーブン皿などの上にとり出し、ごく弱火のオーブンに入れて冷めないようにしておく。
ソトゥーズの煮汁に薄く輪切りにしたニンジンを加え、煮汁を半分くらいになるまで煮詰めたら、生クリームを加えて、泡立て器を使って混ぜ合わせる。ここでマッシュルームを加え、数分火を通し、塩、コショウで味を調えれば、おいしいソースのでき上がり。
ちょっと深めの皿にサバを盛り付け、ソースをたっぷりかけ、パセリを散らしましょう。付け合わせは、柔らかくゆで上げたジャガイモがおすすめ。飲み物は、料理に使った辛口のシードル、あるいはムスカデのような辛口の白ワインが合うだろう。(真)
4人分:サバ4尾、マッシュルーム250g、ニンジン1本、エシャロット4個、タマネギ1個、ニンニク2片、シードル1瓶、ブーケガルニ、バター、生クリーム大さじ4杯、
パセリ、塩、コショウ
●サバ
サバは「青魚の王様」といわれる。各種ビタミンやカルシウム、鉄分(血合いの部分)に富んでいるだけでなく、その脂質にはDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)が、青魚の中でも郡を抜いて多い。DHAは記憶力の低下を抑えたり、視力によいし、EPAは、血液をサラサラにして中性脂肪を減少させ、悪玉コレストロールを減らし善玉コレストロールを増やす効果がある。ただ「サバの生き腐れ」といわれるくらいに鮮度が落ちやすい魚なので、目がつやつやとし、体がぺしゃっとしてない新鮮なものを買って、早めに調理することが大切。
●サバ料理さまざま
鮮度さえよければマリネ。しめサバのごとく、塩を振って数時間しめてから、オリーブ油に、薄切りのタマネギやニンジン、コショウ粒やローリエの葉、タイム、バジリコなどを好みに加えたマリナードに漬けるだけ。
軽く塩、コショウし、オリーブ油かバターでさっとソテーも最高。これも鮮度がいいとうまさが違う。他にも白ワイン煮、トマトやピーマンのソースで煮込んだバスク風、タルト、リエット…とフランス料理でも大活躍。スーパーに並んでいるサバの缶詰もなかなかの味だ。
●maquereaux sous la neige
フランスのサバは小型。しめサバを作っても、血合いに沿って並んでいる血合い骨を骨抜きでとるのが大変。身もくずれやすい。そこでボクは「雪の下のサバ」と名付けた造りにする。腹骨をすきとったら、血合い骨をどちらかの身に残すようにして二つに切り分ける。そして片身に残る血合い骨を切り取る。すると細長い身が2枚になる。それを斜にひし形に切る。これでは形も揃わないし、重ねて皿に並べるのも不可能。そこでそのひし形のしめサバを、大皿にざっくばらんに敷いたらたっぷりの大根おろしで覆い、針千本に切ったショウガや小口に切った万能ネギを散らし、おろしショウガを添えれば「雪の下のサバ」のでき上がり。
サバの缶詰
こんな風に切リ分ける。